1994 Fiscal Year Annual Research Report
血流により機能的変化を生じた内皮細胞と、内皮平滑筋細胞の相互作用
Project/Area Number |
05837009
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
三俣 昌子 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (40064589)
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Keywords | 血流 / ずり応力 / 血管透過 / 血管内皮細胞 / 血小板由来増殖因子 / グリコスアミノグリカン / ZO-1 / コラーゲン |
Research Abstract |
動脈硬化が血管の分岐部に好発することから、血流による内皮細胞の形態および機能変化が病変発生の主要原因と考えられる。すなわち血行力学的作用により内皮細胞の性質すなわち増殖因子、細胞表層のGAGsや線維の産生、透過性の変化を招き、この変化が内膜平滑筋細胞の機能や形態変化、さらに血管壁への脂質沈着や血栓形成、壁肥厚を導くと考えられる。本研究はこの機序の解明を目的とし、今年度は以下の結果を得た。 1.細胞内cAMPを増加させるforscolinは、30dyn/cm^2のずり応力負荷により増幅されるPDGFB mRNA発現を抑制し、同時にstress fiber形成も阻害した。しかしactin重合阻害剤であるcytochalasinBも6時間処理によりPDGF B mRNA発現を抑制した。以上より、PDGF B mRNA発現は細胞内cAMP量よりも、stress fiber形成量に関連すると推測された。 内皮産生PDGF B蛋白の細胞内・外作用部位は未解決なので、今後PDGF B mRNA発現とstress fiber形成との関連を細胞分子レベルでより詳細に検討する。 2.ずり応力刺激により増加した細胞表層およびtrypsin可溶性の細胞外のGAGsをクロマトグラフィーで解析した。約80%はheparan sulfateであった。 3.RT‐PCR法で検討すると、内皮間透過を調節するtight junction関連蛋白であるZO‐1のmRNAは10〜30dyn/cm^2のずり応力負荷により発現し、30dyn/cm^2負荷では、ずり応力負荷30分から12時間後に発現した。 以上より、高ずり応力は内皮細胞表層のhepran sulfate産生および分泌や、内皮間tight junction形成を促進する結果血管壁透過を抑制し、抗動脈硬化性に働くと考える。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Arisaka T,Mitsumara M,Kawasumi T et al.: "“Effects of shear stress on glycosaminoglycan systhesis in vascular endothelial cells."in Atherosclerosis III" New York Academy of Science, (1995)
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[Publications] Yoshdia Y,Okano M,Wang S et al.: "“Hemodynamic force-induced difference of interndothelial junctionsl complexes."in Atherosclerosis III" New York Academy of Science, (1995)
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[Publications] 三俣昌子: "“血流ずり応力と内皮細胞機能-動脈硬化局在化についての考察-"動脈硬化研究の進歩 Vol.15" 動脈硬化セミナー, (1994)