1993 Fiscal Year Annual Research Report
血管細胞内Ca貯蔵部の1価イオン透過機構の細胞内情報伝達における生理的意義の解明
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05837017
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 博道 九州大学, 医学部, 助手 (20166820)
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Keywords | 血管細胞 / カルシウムイオン / 1価イオン / 情報伝達 |
Research Abstract |
スキンド培養細胞の Ca-45フラックス実験結果 ラット大動脈初代培養平滑筋細胞をサポニン処理し(スキンド細胞)、Ca-45を用いて貯蔵部へのATP依存性Ca取り込みとCa流出を測定した。【.encircled1.】スキンド細胞用緩衝液中の130mM KC1をLiC1、Tris・HC1、NH_4C1、塩化コリン、Sucrose等で等張性に置換すると、Ca-45流出率は増加したが、 RbC1、CsC1、NaC1の場合は変化しなかった。貯蔵部膜の電位は、1価陽イオンの膜透過性が低い場合ネルンストの式に従い内部陰性方向に変化すると予想される。この電位変化はCa流出に対し制御的に働くはずであるが、一方で貯蔵部膜の電位感受性のCa放出チャンネルを開口させた可能性が示唆された。【.encircled2.】130mM KC1を上記1価陽イオン(C1塩)にて等張性に置換してCa取り込みに対する影響をみた。コリン、Tris、LiC1等に置換した場合に著しい抑制が認められた。置換による膜電位変化(内部陰性)は理論的にCa取り込みを変化させない。置換した1価陽イオンに、Kイオンチャンネルを介する内部K流出を抑制する作用があれば、Ca取り込みは低下する可能性が示唆された。【.encircled3.】KCLを各種陽イオンで置換後、イノシトール三燐酸によるCa放出(IICR)に対する効果をみた。IICRは緩衝液中にCaがない場合に比べ、300nMのCaが存在すると増強されるので、この二つの条件について検討した。内部陰性の膜電位変化はIICRを抑制することが予想され、その抑制の程度から、逆に膜電位変化の大きさ、さらに各1価陽イオンの相対的膜透過性順位を推定できると考えたが、確かにそのとうりの結果が得られた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Chiaki Watanabe: "Extra cellular Ca^<2+>-dependent potentiation by cocaine of serotonin-and norepinephrine-induced contractions in rat vascular smooth muscle" Circulation Research. 72. 1191-1201 (1993)
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[Publications] Chiaki Watanabe: "Mechanisms of caffeine-induced contraction and relaxation of rat aortic smooth muscle" Journal of Physiology. 456. 193-213 (1992)
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[Publications] 山本 博道: "血管平滑筋収縮弛緩のカルシウム制御" 血管と内皮. 3. 375-381 (1993)