1994 Fiscal Year Annual Research Report
血管細胞内Ca貯蔵部の1価イオン透過機構の細胞内情報伝達における生理的意義の解明
Project/Area Number |
05837017
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山本 博道 九州大学, 医学部, 助手 (20166820)
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Keywords | 血管細胞 / カルシウムイオン / 1価イオン / 情報伝達 |
Research Abstract |
スキンド培養細胞のCa‐45フラックス実験結果 1.ラット大動脈初代培養平滑筋細胞をサボニン処理し(スキンド細胞)、Ca‐45を用いて貯蔵部へのATP依存性Ca取り込み後のCa流出を測定した。スキンド細胞用緩衝液中の130mM KClをLiCl、Tris・HCl、NH_4Cl、塩化コリン、Sucrose等で等張性に置換すると、Ca‐45流出率は増加したが、RbCl、CsCl、NaClの場合は変化しなかった。同じ実験を10μM Valinomycinの存在下に行った。塩化アンモニウムまたはSucroseへの置換によるCa遊離はValinomycinで抑制された。その抑制の程度はSucroseの方が塩化アンモニウムの場合より小さかった。KClを塩化コリン、LiCl、Tris・HClなどにて置換したところ、比較的速い上昇相とその後の下降相を伴う貯蔵部からのCa遊離を起こしたが、その様子はValinomycinが存在しない場合とは異なり、むしろ促進的かつ一過性であった。RbClまたはCsClへの置換はCa遊離に影響しなかった。しかし、NaClに置換した場合のみ、Ca-45流出率は一過性に増加し次に次第に下降し、Valinomycinが存在しない場合とは異なった。以上の結果から、貯蔵部膜上に電位感受性Ca遊離チャンネルが存在する可能性がさらに強く示唆された。 KClを上記1価陽イオンまたはSucroseで置換後、0.1 mM CaによるCa遊離と1μM Ca+30mMカフェインによるCa遊離に対する効果について検討した。内部陰性の膜電位変化はCa誘発Ca遊離を抑制することが示されたが、同時に、IP3誘発Ca遊離の場合と異なり、貯蔵部周囲のCa濃度増加が陽イオン透過性チャンネルにも影響を与えている可能性も示唆された。以上の結果から、ラット大動脈中膜由来初代培養平滑筋細胞の細胞内Ca貯蔵部におけるCa貯蔵と遊離は、貯蔵部膜を通る1価陽イオン動態により制御されていることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Mayuko,Kodama: "Myosin phosphory lation and Ca^<2+> seusitization in porcine coronary artarial smooth muscle stimulated with endothelin‐1" European Journal of Pharmacology(Molecular Pharmacclosy section). 288. 69-77 (1994)
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[Publications] 山本博道(分担): "血管の分子生物学" メディカル レビュー社(発表予定), (1995)