1993 Fiscal Year Annual Research Report
血圧調節と血管内皮・平滑筋細胞における細胞内Ca^<2+>調節因子との関係について
Project/Area Number |
05837020
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
八木澤 仁 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (40192380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 英明 姫路工業大学, 理学部, 助手 (10233925)
平田 肇 姫路工業大学, 理学部, 教授 (40049052)
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Keywords | 高血圧 / 血管内皮・平滑筋細胞 / カルシウムイオン / ホスホリパーゼ / 高血圧自然発症ラット(SHR) / 遺伝子クローニング / 遺伝子発現 / 遺伝子連鎖解析 |
Research Abstract |
本研究では、血圧調節と血管内皮・平滑筋細胞における細胞内Ca^<2+>調節因子との関係について解析することを目的としている。既に我々は高血圧自然発症ラット(SHR)の細胞内情報伝達系に関連する遺伝子の多型性を検索する過程で、ホスホリパーゼC(PLC)のdelta1アイソフォームのcDNAをクローニングし、酵素活性に重大な影響を与えると推定されるアミノ酸置換をともなう塩基置換を見いだした。本年度は我々がクローニングしたPLC-delta1遺伝子の大腸菌による発現系の確立と、SHRと対照正常血圧ラットWKYとの交配孫世代(F2)を用いて以下の検討を行った。1.SHR型およびWKY型PLC-delta1のcDNAを、親和性精製の可能なGST融合タンパク発現ベクター系に組み込み、大腸菌に大量に発現させPLC活性を比較した。酵素キネティクスを検討した結果、SHR型はWKY型に比べてPLC活性のKmは同等であるがVmaxが約2倍になっていた。また欠質変異導入によって、PLC-delta1におけるイノシトール三リン酸(IP_3)結合部位を明らかにしその酵素調節における役割を検討した(投稿中)。2.アミノ酸置換部分に対応するSHR型・WKY型PLCペプチドを合成し、NMRによる構造解析を行ったがSHRペプチドの難溶性のため、有意な情報は得られなかった。そこで1.で発現させたSHR型とWKY型の精製標品について、円偏光二色性スペクトラムを比較したところ、前者で僅かなalphaヘリックス構造の増加が見られ、これは推定アミノ酸構造を元にした理論的予測と符合した。3.大腸菌で発現させた酵素を抗原として特異抗体を作成した。4.15週齢のF_2ラットについて、PLC-delta1の塩基置換に対応するゲノム遺伝子の制限酵素断片多型性を指標として、組織におけるPLC活性との連鎖解析を行ったところ、SHR型遺伝子型と酵素活性の間に相関を示す傾向が見られた。5.SHR型およびWKY型のPLC-delta1を動物細胞に発現させるため両親媒性ペプチドとリポソームを用いた効率的な遺伝子導入法を確立した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yoko-o,T.et al.: "The putative phosphoinositide-specific phospholipase C gene,PLC1,of the yeast Saccharomyces cerevisiae is important for cell growth" Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90. 1804-1808 (1993)
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[Publications] Kamata,H.et al.: "Amphiphilic peptides enhances the efficiency of liposome-mediated DNA transfection" Nucleic Acid Res.22. 536-537 (1994)