1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05851005
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
小林 信之 京都市立芸術大学, 美術学部, 講師 (30225528)
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Keywords | 存在 / 真理 / 芸術 / 作品 / 詩作 / ハイデガ- / 土着性 / 本来性 |
Research Abstract |
M.ハイデガ-の芸術論を本年度、集中的に研究した成果は、二本の論文(「研究発表」の項参照 一本は投稿準備中)にまとめられたが、その内容を要約すると、以下のようになる。 1.『存在と時間』(1927年)から論文「芸術作品の根源」(1930年代)へのハイデガ-自身の思想的展開の問題の究明。その際、とくに「作品」概念の重要性が強調され、「作品」が真理の場所として、「芸術作品の根源」において記述されることを示した。 2.ハイデガ-芸術論の持つ問題点。ハイデガ-は芸術の本質を詩作に求め、民族の言葉に根ざしたものと考える。このように、芸術の根底にある種の土着性Bodenstandigkeitを見出すような考え方が、はたして現代の芸術にもあてはまるのかどうかが問われた。 その外、芸術における「本来性」とは何か、という問題など、ハイデガ-の解釈を通じて、徹底的な対決が企てられた。
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[Publications] 小林信之: "Das dichterische Wesen der Sprache im Denken M.Heideggers" 国際版 『美学』. No.6. (1994)
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[Publications] 小林信之(分担): "ハイデッガ-を学ぶ人のために(大橋良介編)" 世界思想社 (予定), 300 (1994)