1993 Fiscal Year Annual Research Report
社会化のプロセスと加齢:高齢者におけるsocialityとsociabilityの二側面
Project/Area Number |
05851027
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
佐藤 眞一 (財)東京都老人総合研究所, 心理学部門, 研究員 (40196241)
|
Keywords | 高齢者 / 社会化 / sociality / sociability / social skill / 適応性 |
Research Abstract |
本研究では、高齢者の社会化(socialization)のプロセスを情動的・性格的側面と技術的側面に二分して検討することを提案している。前者を対人的側面におけるsociality、後者をsociabilityと呼ぶことにする。ところで、近年、社会心理学の分野ではsocial skillやsocial competence等の対人的能力に関する研究が増加してきた。そこで、本研究ではoriginalに測定尺度を作成することは今後の課題とし、今回はRiggio(1986)の作成したsocial Skills Inventory(SSI)の下位尺度のうちのEmotional Control(EC)とSocial Control(SC)を用いて、自己の情動的な側面を統制するスキルと他者との関係を統制するスキルを測定し、デモグラフィック変数を含む諸変数との関連を検討した。 【方 法】1.対象者:65歳以上の在宅の高齢者400名を対象に面接法によって実施した。調査不能および未完了データを除き、293名分のデータを分析対象とした。 2.調査内容:SSIの下位尺度であるECとSCによってsocial skillの二側面を測定した。また、独立変数として年齢・性別・教育年数の3属性変数、適応性を測定するためのself-esteem尺度、自己統合感尺度およびCPI自己性尺度を実施した。 【結 果】1.ECとSCの関連:social skillの二側面であるECとSCには、弱い正の相関が認められた。 2.属性の影響:性と教育年数にSCとの有意な関連があったが、ECとの関連性は認められなかった。 3.適応性との関連:適応性の3尺度はいずれもSCと中程度以上の正の相関がみられたが、ECとの関連はみられなかった。
|