1993 Fiscal Year Annual Research Report
異族半導体AlGaAs-ZnSe新人工多層構造の作製と新物性に関する研究
Project/Area Number |
05855005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船戸 充 京都大学, 工学部, 助手 (70240827)
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Keywords | 異族半導体多層構造 / GaAs-ZnSe / 透過型電子顕微鏡 / 三次元成長 / マイグレーション |
Research Abstract |
本研究、従来にない新しい構造である異族半導体多層構造を作製し、新物性の発現とデバイスへの応用を目指したものである。以下に、本年度の研究で得られた結果を示す。 (1)AlGaAsの成長に先立ち、より基本的な二元化合物であるGaAsを用い、GaAs/ZnSe二層構造をGaAs基板上に作製し、その表面状態の観察を行った。その結果、成長温度が高温で、V/III比が小さいときに表面が三次元的になることがわかった。この原因を探るため透過型電子顕微鏡(TEM)により断面観察を行ったところ、ZnSe層は成長条件に関わらずGaAs基板上に二次元成長しているが、ZnSe上に成長したGaAsは高温、小V/III比で三次元(島状)成長、逆に低温、大V/III比で二次元成長していることが判明した。この現象は、この材料系において初めて見いだされた現象であることから、より詳細に検討する必要があると考え、ZnSe上でのGaおよびAs原料の振舞い、あるいは三次元成長した場合の平均の膜厚を調べた。得られた結果から、三次元成長の原因はGaを含んだなんらかの分子のZnSe表面でのマイグレーションであると推定した。 (2)二次元成長している場合について、界面状態を評価するためにn-ZnSe/n-GaAsヘテロ接合を作製し電気的特性を評価した。光を照射することによって生じる電流の測定から、界面準位が存在しZnSe、GaAsどちらの側にも空乏層が存在することがわかった。この界面準位低減にはGaAs表面処理が有効であることを示した。 (3)GaAs-ZnSe多層構造を様々な成長条件で作製した。上記(1)の二次元成長あるいは三次元成長する条件を選ぶことにより、量子井戸構造、量子箱構造をつくりわけることができる可能性を示した。また、X線回折、TEM観察から、いずれの構造も優れた結晶性を持つことが明らかになった。
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Research Products
(1 results)