1993 Fiscal Year Annual Research Report
水プロトン化学シフトによる体内温度分布の無侵襲画像化法に関する研究
Project/Area Number |
05855062
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
黒田 輝 大阪市立大学, 工学部, 助手 (70205243)
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Keywords | 温度分布画像化 / 無侵襲 / NMR / MRSI / 水 / プロトン / 化学シフト |
Research Abstract |
昨年度までの研究((536)03855094及び(536)04855087)を踏まえ本年度は、水プロトン化学シフトの温度係数の決定要因の明確化、生きた組織における水プロトン化学シフトの温度依存性の明確化、及び生きた動物での温度分布画像化の可能性の検証などを目標とした。 まずモデル水溶液と磁気共鳴分光器を用いた実験により、水プロトン化学シフトの温度係数は磁性成分により著しく影響されること、高分子及びpHの影響は磁性成分に比べて無視し得ることを明かにした。 次に生きたマウスの大腿部骨格筋をサーフェスコイルで観測する実験により、装置の参照周波数を基準にした水及び脂肪プロトン化学シフトが温度に対し正の勾配で変化すること、脂肪を基準にした水プロトン化学シフトが摘出臓器と同様な負の温度係数を持つことがわかった。モデル水溶液の結果と合わせると、この基準周波数の取り方による違いの原因は観測部位内の磁性成分、特に血液中の還元ヘモグロビンの濃度変化に伴う体積磁化率の変化と考えられた。これより、生きた動物での温度分布画像化を行うためにはボクセル毎に周波数基準(脂肪プロトン)が必要であることを明らかにした。 総合的検討としてMRSI装置を用いて生きたラット体内の温度分布画像化を試みた。提案スペクトル推定法の改良により、ボクセル間信号混入・渦電流磁場・ノイズ及び周波数分解能の制限などの影響を低減して水プロトン化学シフトを推定し、基準温度との差の分布を定性的に反映した画像を得、生きた動物での温度分布画像化の可能性を示した。但し、ここでは脂肪プロトンの信号の検出が困難なボクセルがあり、先述のようなボクセル毎の周波数基準を設けることができておらず、定量性に問題がある。今後、水信号の抑制を行って脂肪信号の検出感度を向上させ、脂肪を基準とした水プロトン化学シフトによる絶対温度の分布画像を得る必要がある。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kagayaki Kuroda et al.: "Non-invaslre temperature mapping using water proton magnetic resonance spectroscopic imaging" Biomedical Thermology. (in press).
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[Publications] 阿部公輔、黒田 輝他: "水プロトン化学シフトによる無侵襲温度分布画像化法の検討-生態組織における水プロトン化学シフトの温度依存性-" 日本ハイパーサ-シア誌. 9. 203 (1993)
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[Publications] 黒田 輝他: "水プロトン化学シフトによる生体内温度分布画像化法の検討-生体組織における温度依存性の支配要因の検討" 医用電子と生体工学. 第32巻特別号 (印刷中). (1994)
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[Publications] Kagayaki Kuroda and Shiro Tsutsumi: "Chapter C. NMR Tomography II:Temperature Imaging by Proton Chemical Shift, in Non-invaslre Thermonetry of The Human Body" CRC Press, Inc. (in press), 30ページ程度