1993 Fiscal Year Annual Research Report
有機-無機半導体開接合面の容量型窒素酸化物センサへの応用
Project/Area Number |
05855127
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
石原 達巳 大分大学, 工学部, 助教授 (80184555)
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Keywords | 窒素酸化物 / センサ / 静電容量 / フタロシアニン / 半導体開接合 |
Research Abstract |
主に内燃機関から発生する窒素酸化物(NOx)は極めて有毒であり、酸性雨として著しい環境破壊を引き起こす。現在NOxを高感度で、かつ選択的に分析できるシステムの開発が社会的に切望されている。NOxは主に化学発光法によって分析されているが、これに代わる方式として種々のNOxセンサの開発が精力的に行われている。本研究ではフタロシアニンがp型半導性を有し、NOが吸着し易い点に着目し、主に金属を配位したフタロシアニンをn型半導体上に塗布して作製した有機-無機p-n半導体開接合面を利用し、静電容量に基づいてNOを検知する新しい容量型NOxセンサの開発を検討した。Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Snを配位したフタロシアニンを基板として、n型、Si単結晶板、及びn型に原子価制御したBaTiO_3上へピリジンを溶媒として塗布して得た電極としてAgペーストを塗布した。いずれの有機-無機p-n半導体開接合面においても電流と電圧の関係は非線型的でありp-n接合面が形成していることがわかった。一方、素子の静電容量に及ぼすNOxの影響について検討したところ、いずれの素子においても静電容量はCO_2の導入により低下したが、低下量はあまり大きくなく、空気中の容量とNOx中の容量比は1.2程度であった。これはp-nヘテロ接合の場合、接合面の量があまり多くないためと考えられる。一方、交流測定では順方向、逆方向といった印加電圧の方向性がない。そこで、p-n接合の物性の変化を静電容量で測定するのであれば、単純な物理混合を行うことで、p-n接合面を増加できることになる。そこで、本研究は最も高い感度を示したCoフタロシアニンについてZnOとの混合粉末を作製し、その静電容量に及ぼすNOx濃度の影響を検討した。その結果、本素子ではNOxに対し、比較的大きな感度を示し、120℃という低温ながら100PPm NOに対して、素子の静電容量は半分に低下することがわかった。またこのCo-フタロシアニン-ZnO素子では静電容量がNOx濃度の増加とともに低下するので、新規な容量型NOxセンサになることがわかった。
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