1993 Fiscal Year Annual Research Report
N-シリル化アミンを開始剤とするエポキシドのリビング開環重合に関する研究
Project/Area Number |
05855139
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
大石 好行 岩手大学, 工学部, 助教授 (90194076)
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Keywords | N-シリル化アミン / エポキシド / リビング重合 / 開環重合 / ポリエーテル / 分子量 / 分子量分布 |
Research Abstract |
開環重合においては、一般に置換基が関与する副反応のために分子量及び分子量分布の制御された高分子を得ることは困難であり、また、立体規則性や光学活性な高分子の合成は未だ不十分である。そこで、本研究では、エポキシドの重合開始剤としてN-シリル化アミンに着目し、ケイ素化合物に特異的に作用するフッ素系触媒を併用することによって、分子量、分子量分布及び立体規則性の制御が可能なエポキシドの新しいリビング重合系を開発することを目的とした。 エポキシドの開環重合に及ぼすN-シリル化アミン開始剤の影響を明らかにするために、N-トリメチルシリル化一級アミンとN-トリメチルシリル化二級アミンを持ちいて反応を検討した。N-トリメチルシリル化一級アミンを用いた場合は、シロキシ基を有する開環付加体が高収率で得られることがわかった。一方、二級アミンのシリル化体を用いた場合は、全く反応は進行しなかったが、フッ化セシウムを併用したところ、重量平均分子量が数万でその分散度が1.5のポリエーテルを得ることができた。シリル化アミンの量をエポキサイドに対して等量まで増加しても、数千の分子量を有するポリマーが得られることより、シリル化アミンのエポキシドへの付加反応に比べ、開環重合反応が速やかに進行し、リビング的な開環重合が起きていることが示唆された。 以上のことにより、二級アミンのN-シリル化物とフッ素系触媒を併用することにより、エポキシドの開環重合が可能であることを明らかにし、エポキシドの新規なリビング開環重合系を見いだすことができた。今後、詳細な重合条件の検討を行うことにより、N-シリル化アミンを用いるエポキシドのリビング開環重合系を確立することができ、分子量およぼ分子量分布が明確で立体特異性のポリマーの合成が可能になるものと期待される。
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