1994 Fiscal Year Annual Research Report
水晶振動子による二分子膜の刺激応答の検出とその応用に関する研究
Project/Area Number |
05855145
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山田 哲弘 千葉大学, 教育学部, 助教授 (40182547)
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Keywords | 水晶振動子 / 水晶発振子 / 合成二分子膜 / 粘弾性変化 / ゲル‐液晶相転移 / 共振周波数 / 匂いセンサー / 両親媒性化合物 |
Research Abstract |
本研究では、合成二分子膜に熱や光などの外部刺激を与えた時に生ずる膜物性の変化を水晶振動子の周波数変化として検出することを目的とした。本年度は外部刺激として熱を用いた。まず二分子膜水溶液を水晶振動子(AT cut,9MHz)上で風乾し、フィルム状の二分子膜で片面を被覆した水晶振動子を作成した。この二分子膜被覆水晶振動子を温度測定用の熱電対と共に測定容器に封入して恒温槽(東京理化器械(株)製,NSB‐3100)に入れ、昇温に伴う共振周波数変化を記録した(相互薬工(株)製,SF450(98))。二分子膜は風乾固定した場合でも水系と同じゲル‐液晶相転移を起こすことがすでに知られている。しかし固定化系の相転移温度は必ずしも水系とは一致しないので、フィルムにした二分子膜のゲル‐液晶相転移温度(Tc)を示差走査熱量計(セイコ-電子製,SSC560)で測定した。Tcの異なる5種類の二分子膜について、周波数変化を測定したところ振動数はTcを境にして急激に変化した。振動数変化は膜化合物の種類によって様式が異なる他、被覆に用いた二分子膜の膜量依存性を示したが、振動数変化が起こる温度とTcは数度の温度差で極めて再現性良く一致した。以上の結果は、加熱によってゲル‐液晶相転移が起こると二分子膜の粘弾性が変わり、これに伴って水晶振動子の共振周波数も変化することを意味している。従って、二分子膜の物性変化を水晶振動子の周波数変化として検出することは可能であることがわかった。また本研究で用いたシステムは二分子膜の粘弾性変化を起こす外部刺激であれば熱に限らず検出できる可能性がある。
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