1993 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞・周細胞相互陥入部を介した血管新生制御機構の三次元電顕免疫学的研究
Project/Area Number |
05856059
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
和久井 信 麻布大学, 獣医学部, 講師 (40201157)
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Keywords | 肉芽組織 / 血管新生 / 内皮細胞 / 周細胞 / 細胞質突起相互陥入 |
Research Abstract |
血管新生は常に内皮細胞、周細胞、平滑筋細胞が単位となって進行する現象である。血管新生機構における、これら異種細胞間の相互作用の解析は多くの研究者が勢力的に進めているが、多くはinvitroの研究として行われている。血管内皮細胞と周細胞が直接接触する条件下で混合培養を行うと、血管内皮細胞の増殖が抑制されることが知られている。この作用がTGF-betaの局所的活性化によることが示唆されている。しかし、これら異種細胞間の相互作用部はいまだ直接形態学的に証明されていない。これに対し、本研究者は、血管新生時の毛細血管内皮細胞と周細胞との間に細胞質突起相互陥入(Endothelium and Pericyte Cytoplasmic Interdigitation:CIDEP)を同定し、同構造が血管新生機構に於ける細胞間相互情報交換の場であり、細胞増殖因子の発現部であるという全く新しい仮説の基に多くの検討を行ってきた。このEPCIDに関し、以下の事が明かとなった。 血管内皮細胞と周細胞とのCIDEPは、特に有意に血管新生部に集中して分布する。CIDEPを構成する両細胞間に15-80nmの間隙があり、さらに同部の両細胞には多くの微細小胞が分布する。新生毛細血管内皮細胞は基底膜構成成分(Laminin,Fibronectin)を産生し、微細小胞を介して脈管外へ放出しているが、これらCIDEPに限局して、これら成分の放出分布が全く認められない。血管新生を誘導する細胞増殖因子の内、特に上皮細胞増殖因子(Epidermal Grwoth Factor:EGF)がこれらCIDEPに限局して分布することを三次元免疫電顕組織化学的に証明した。さらに同様の手法を用いて上皮細胞増殖因子の受容体が血管新生部のこれらCIDEPの周細胞側のみに発現することを証明した。このことは、Plasma EGFが血管内皮細胞の内腔側からEPCID部に移送された後、周細胞に伝達される事を示唆し示唆するものである。このことから、CIDEPを介しEGFによって周細胞の増殖が促進され、TGF-betaによる血管内皮細胞の増殖抑制と協調して新生血管の成熟が進行することが示唆された。
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[Publications] 和久井信: "血管新生とその制御" 現代医療. 25. 1713-1719 (1993)
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[Publications] Wakui,S.: "Endothelium and Pericyte interdigiation in rat subcutaneous disc implanted angiogenesis." Microvascular Research. 46. 19-27 (1993)
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[Publications] Wakui,S.: "Microcirculation Annual 1993" Nihon Igakukan,Tokyo., 210 (1993)