1993 Fiscal Year Annual Research Report
Protein kinase C分子種による細胞周期制御機構の解析
Project/Area Number |
05857014
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
荻田 浩司 神戸大学, 医学部, 助手 (60204103)
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Keywords | Protein kinase C / 細胞周期 / Mitogen activated protein kinase(s) / 細胞質分裂 |
Research Abstract |
Protein Kinase C(PKC)は、種々の細胞増殖因子により活性化を受け、細胞の分化、増殖ひいては細胞周期制御機構において重要な役割を果たしている事が示唆されている。一方、現在PKCは10種以上の分子種の存在が明らかにされ、その構造、酵素化学的性質、組織特異性がそれぞれ異なる事より、それぞれの分子種が異なる情報伝達経路において固有の役割を担う可能性が示唆されるに至っている。本研究は、細胞増殖制御において働くPKC分子種を同定し、その役割を解明する事を目的とし、以下の結論を得た。 1.PKC分子種恒常的大量発現細胞の細胞増殖に対するphorbol 12-myristate 13 acetate(PMA)の影響 alpha、betaII、zeta、deltaPKC分子種を恒常的大量発現するCHO細胞株のうち、delta-PKC分子種を大量発現する細胞株のみ、PMAにより細胞増殖の抑制が認められた。また本細胞株の細胞周期をフローサイトメトリーにより解析の結果、4NのDNA量を有する細胞の蓄積が認められ、検鏡の結果、2核を有する細胞の蓄積が観察された事より、M期の細胞質分裂に異常をきたしている事が判明した。 2.deltaPKC分子種恒常的大量発現におけるMitogen activated protein kinase(MAP kinase)活性化経路の解析 PKCの活性化を介してMAP kinaseの活性化に至る情報伝達経路の存在が種々の実験結果により示唆されているが、現在この経路に関与するPKC分子種及びそのtarget分子の同定は成されていない。本研究により、deltaPKCを大量発現する細胞株においてPMA刺激によりMAP kinaseの活性化が著しく長期化する事が明らかとなった。またこの長期化は、G_0/G_1期のみならずG_1/s期に同調した場合においても観察された。現在、本情報伝達経路におけるdeltaPKC分子種の基質分子の解析を進行中である。 3.zetaPKCのリン酸化による活性調節 細胞刺激によるzetaPKCの活性上昇機構を明らかにする為、^<32>PiでlabellしたCHO細胞をTPA刺激後、zetaPKC免疫沈降を解析した結果、zetaPKCはTPA等の細胞刺激によりリン酸化される事が明らかとなった。現在、zetaPKCをリン酸化するprotein kinaseの同定とリン酸化によるzetaPKC活性の調節について、さらに詳細な解析を行っている。 4.zetaPKCのMAP kinase活性化経路への関与の解析 CHO細胞にzetaPKC遺伝子をDHFR遺伝子と共に導入し、zetaPKCを大量発現する細胞株を樹立し、TPA,Thrombin,FCS刺激時のMAP kinase活性を測定した結果、zetaPKC大量発現によるMAP kinase活性化の強さ、経時的変化に差異はなくzetaPKC分子・種のMAP kinase活性化に至るシグナル伝達経路への関与は確認できなかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Saito,N.: "Cellular and intracellular localization of epsilon-subspecies of protein kinase C in the rat brain:presynaptic localization of the epsilon-subspecies." Brain Res.607. 241-248 (1993)
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[Publications] Oka,M.: "Selective increase of the alpha subspecies of protein kinase C and inhibition of melanogenesis induced by retinoic acid in melanoma cells." J.Invest.Dermatol.100. 204S-208S (1993)