1993 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト内在性レトロウイルスの探索とそれらの転移活性の解析に関する研究
Project/Area Number |
05857036
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Research Institution | 国立予防衛生研究所 |
Principal Investigator |
北村 義浩 国立予防衛生研究所, 遺伝子解析室, 研究員 (10202037)
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Keywords | レトロウイルス / 組み込み / インテグレース / レトロトランスポゾン / ポリメラーゼ連鎖反応(PCR) |
Research Abstract |
内在性レトロウイルス及びレトロトランスポゾンは、動植物を問わず、種を越えて、生物界に広く分布している。しかし、ヒトでは、これら内在性レトロウイルスは、ほとんど調べられていない。本研究では、レトロウイルスの組み込み酵素(integrase)に注目して、内在性レトロウイルスのクローン化を試みた。 各種のレトロウイルス及びレトロトランスポゾンで非常によく保存されている幾つかのアミノ酸、並びに、その近傍の比較的保存されているアミノ酸配列に相当する12-15ntのオリゴヌクレオチド(guessmer)を作成し、これらのプライマーを用いてのPCR法で、HeLa細胞DNAから、約200-300bpの長さのDNA断片を増幅し、その塩基配列を調べた。調べた約10の断片のうちの2つ(♯60、♯77)は、現在までに知られているレトロウイルスと相同性のあるクローンであった。 ♯60は、mouse mammary tumor virus(MMTV)、simian D-type retrovirus、Rous sarcoma virusとDNAでそれぞれ62、60、48%の相同性を有し、実際に、タンパク質をコードし得るopen reading frame(ORF)が存在した。この予想されるアミノ酸配列は、MMTVのintegraseのアミノ酸配列と60%が同一であった。 ♯77は、chimpanzee immunodeficiency virus、sheep retrovirusとDNAでそれぞれ50、46%の相同性を有していたが、実際にタンパク質をコードし得るORFは存在しなかった。 現在は、上記の♯60を元にして、HeLa細胞DNAからこの内在性レトロウイルスの全長のクローンのクローン化を試みている。その一方で、HeLe細胞を含め、各種のヒト培養細胞で転写されているかどうかを調べている。
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