1994 Fiscal Year Annual Research Report
閉経前後の女性の血清脂質に及ぼす運動の影響とその機構に関する研究
Project/Area Number |
05857045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳堀 朗子 東京大学, 医学部, 助手 (50251228)
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Keywords | 血清脂質 / 運動 / 閉経期女性 / 日常生活習慣 |
Research Abstract |
某大学女性職員を対象とし、健康診断時に日常生活活動量、食生活習慣、食物摂取量などの質問からなる質問紙調査票を配布し、郵送による回答の回収を行い、268名から有効回答を得た(回収率66%)。また、回答者の中で同意の得られた者については健康診断時の検査項目の内、血液検査、形態測定値の転記および、アポ蛋白AI、アポ蛋白B、フルクトサミンの測定を行った。更に、希望者について自転車エルゴメータによる体力測定(86人)と1週間の歩数の測定(90人)を行なった。質問紙回収者の内、血液検査結果が得られた者は185名、このうち体力測定の結果も得られた者は60名であった。対象者の年齢階級別内訳は、30歳未満19%、30歳代24%40歳代26%、50歳以上31%であり、40歳代までは94%以上が月経があると回答したが、50歳以上では77%が閉経者であった。年齢階級別に血圧、血清脂質、フルクトサミンを比較すると総コレステロール、アポ蛋白B、中性脂肪は50歳以上群で他の群より高い傾向がみられ、加齢または閉経による血清脂質の増加が認められた。月経の規則的にある群(有経群)では運動習慣のある者の方が体力が高かったが、閉経群では運動習慣と体力は有意な関連はなかった。しかし、閉経群のみ総コレステロールと中性脂肪が運動群で有意に低かった。また、体力に自身のあるものはいずれの群でも体力が高く、有経群ではフルクトサミン、閉経群ではHDLコレステロール、拡張期血圧にも改善がみられた。食習慣と血清脂質の間には明らかな関連がみられなかった。閉経期の女性の血清脂質に体力や生活活動量などが関与している事が示唆されたが、食生活、本人の健康状態などをライフスタイルとして多角的に捉えた上で、運動の影響を検討する必要があると考えられた。
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