1993 Fiscal Year Annual Research Report
肝炎の治療を目的とする遺伝子改変B型肝炎ウイルスの構築
Project/Area Number |
05857063
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
花房 直志 岡山大学, アイソトープ総合センター, 助手 (00228511)
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Keywords | HBV / ベクター / リボザイム / アンチセンスDNA |
Research Abstract |
この研究はB型肝炎の治療に利用可能な遺伝子改変B型肝炎ウイルス(HBV)ベクターの構築を目的としている。ヒトに対する病原性の問題から、in vivoでは増殖しないようにするため、P遺伝子の温度感受性変異の導入を最初の目的とした。しかしながらin vitroでのHBVの複製にX遺伝子が不要であること、逆にin vivoでの複製にはX遺伝子は必須であること等が最近の知見から明らかになった。従って当初の目的はX遺伝子を破壊することによって可能である事が解り、P遺伝子への変異の導入に関する実験は途中で中止された。 遺伝子改変HBVベクターの構築のため、まず約60塩基対の合成DNAリンカーをP遺伝子のC末端側に挿入したHBV配列(HBVL60:3284bp)を作成した。HBVL60は完全なPreC,C,PreS,S,およびP遺伝子を持つが、X遺伝子はリンカーの挿入により破壊されている。HBVL60を基に作成した種々のプラスミドの培養細胞における複製を調べた結果、肝ガン由来のHuH-7においてHBVL60ダイマーは複製可能であること、HepG2においてもトランスでX遺伝子を供給するとHBVL60ダイマーは複製可能である事を示した。従ってHBVは少なくとも63塩基対の異種DNAを運ぶことが可能であることが明らかにされた(学会および報文にて発表準備中)。またHepG2での結果からHBVL60ダイマーはin vivoでは複製能を持たないことが予測された。 HBVL60を基にクローニング部位を持つベクターpGHBV501を作成したので、今後はHBV遺伝子の各種変異の単離、HBVのパッケージング可能なDNAのサイズの検討、リボザイムやアンチセンスDNAを用いた野生型HBVの複製に及ぼす影響等を検討していく予定である。
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