1993 Fiscal Year Annual Research Report
心筋症ハムスターにおける心臓Fas抗原の発現と機能解析
Project/Area Number |
05857083
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
佐野 和也 島根医科大学, 医学部, 助手 (80226034)
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Keywords | 心筋症ハムスター / アポトーシス / Fas抗原 |
Research Abstract |
心筋症ハムスターのFas抗原の解析し、「拡張型心筋症における心筋細胞死はプログラムされた細胞死(アポトーシス)である」という可能性について検討した。 (1)心筋細胞DNA断片化の検討:23週齢雄性BIO14.6心筋症ハムスター(BIO)および対照として同週齢正常ハムスター(FIB)を用いた。心筋細胞をプロテアーゼ阻害剤含有リン酸緩衝液中でホモジナイズし、ショ糖密度勾配法にて核分画を分離しDNAを分離した後、アガロース電気泳動を行った。BIOではDNAが約160-180bpsの断片化を生じており、心筋症ハムスターの心筋障害にアポトーシスが関与していると推定された。 (2)BIOにおいて抗Fas抗体が心筋細胞にアポトーシスを誘導するか否か:BIO心臓よりコラゲナーゼ酵素法による分離を試みたが、心筋細胞の生存率が極めて低く、アポトーシス誘導を電子顕微鏡で観察できる良好な心筋細胞を分離することができなかった。また分離直後に生存していても短時間に細胞死を生じでしまった。特に、BIOハムスターの心筋細胞はFIBハムスターに比し酵素法による分離過程におけるカルシウム負荷で簡単に細胞死してしまった。これは、アポトーシスがカルシウムイオン依存性であることと関係しているかもしれない。したがって、今後は分離細胞を使用せず、In Vivoで抗Fas抗体を注射し心筋細胞の形態学的検討を行う実験が必要であると考えられる。 (3)心筋Fas遺伝子のPCR-SSCP(一本鎖高次構造多型)法による解析:心臓よりAGPC法によりRNAを抽出した。逆転写酵素でcDNAにしたのち、Fas抗原細胞質領域をコードするcDNAを増幅するプライマーでPCRを行った。PCRでは非特異的増幅が認められSSCP法による解析までに至っていない。現在、PCRの条件、プライマーの選択について検討中である。心臓においてアポトーシスの情報を伝達するFas抗原が発現していることは確認されており、Fas抗原が心臓において何らかの役割をしていると推定される。今後、人の心筋症についても検討が必要であると考えられる。
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