1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05857092
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
新城 憲 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (80202753)
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Keywords | 脈管肉腫 / 血管腫 / 血管奇形 / 血管鋳型 / 走査型電子顕微鏡 / 3次元構築 |
Research Abstract |
頭部脈管肉腫および対照として良性血管病変(赤酒状血管腫、動静脈血管腫、海綿状血管腫、先天性多発性血管腫症、pseudo-Kaposi肉腫)、新鮮屍体皮膚血管の鋳型を作製し、3次元微細構造について検討した。 (方法)脈管肉腫および良性血管病変は切除後2時間以内に、新鮮屍体は死後6-48時間に組織採取し、主血管よりヘパリン加生食にて潅流洗浄ののち、鋳型剤(メルコックス)を注入した。軟組織を20%NaOHで除去したのち、鋳型に白金を蒸着し、走査型電子顕微鏡にて観察した。また、各々組織所見と比較検討した。 (結果および考察)鋳型により、血管病変の微細な3次元構築が明瞭に再現された。 組織学的にみられる頭部脈管肉腫の不整形の管腔は、3次元的には、大小多数の数珠状、風船様の小結節の集合体であり、正常頭皮にみられた繊細かつ密な真皮血管網が、これらに置換されていく状態が明瞭に観察された。また、腫瘍性血管壁の脆弱性に起因すると思われる鋳型剤の漏出が、各所に観察された。良性血管病変は、それぞれに特徴的な所見が認められ、その3次元構築、増殖形態は血管肉腫と異なっていた。 血管鋳型法は脈管肉腫の3次元的増殖、拡大様式を理解するうえで有用な研究手段と思われた。今後、症例を重ね、臨床をよび組織所見と合わせて、脈管肉腫の進展様式をより正確に捉えることができれば、治療に新しい展開を示してくれるものと考える。
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