1993 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌とパピローマウイルスとの関連性についての研究
Project/Area Number |
05857231
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久保 秀郎 九州大学, 歯学部, 助手 (00205121)
|
Keywords | ヒトパピローマウイルス / 口腔癌 / コンセンサスプライマー / 前癌病変 |
Research Abstract |
ヒトパピローマウイルス(HPV)は現在まで約60種類の存在が証明されており、HPVが子宮頚癌に強く係わっていることは明らかにされている。子宮癌との組織型が同一である口腔癌や前癌病変でも、HPV感染との関連性が示唆されているものの、現在まで、口腔癌とHPV感染の関連性を証明した報告はほとんどなかった。我々は、口腔癌とHPV感染との関連性を明らかにするために、最も感度、精度ともに高いPCR法を用いて検索し、学会等で報告を行った。具体的なPCRの内容を以下に示す。1)組織よりDNAを抽出。2)熱変性させ1本鎖とした後、L1領域から各HPVに共通性の高いコンセンサスプライマーとアニーリング。3)Thermal Cycler及びTaq polymereseを用いて、目的とするDNA断片を増幅。4)増幅したDNA断片を各種制限酵素で切断して、アガロースゲルで電気泳動することにより、各断片の長さでHPVの型を断定。 現在までに得られた結果は以下のとおりである。口腔扁平上皮癌46例、白板症11例、乳頭腫10例、線維性過形成10例、正常口腔粘膜10例の計87検体に対してPCR法を行い、エチジウムブロマイド染色にて確認したところ、口腔扁平上皮癌7/46(15.2%)、白板症3/11(27.3%)、乳頭腫3/10(30%)、繊維性過形成4/10(40%)、正常口腔粘膜0/10(0%)でHPV DNAが検出された。HPV DNAの検出率は子宮頚部の病変に比べると低いものの、正常粘膜からは検出されず、病変から検出されることにより口腔病変においてもHPVの関与が示唆された。HPVの型では、子宮頚癌においてはほとんどがHPV16,18型であるが口腔扁平上皮癌ではその他にHPV33型も検出され、子宮頚癌とは異なる型のHPVが関与している可能性が考えられた。今後はさらに症例数を増やして検討する予定である。
|