2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05246
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Research Institution | The National Institute for Japanese Language |
Principal Investigator |
前川 喜久雄 独立行政法人国立国語研究所, 研究開発部門, 領域長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MENEZES Caroline 独立行政法人国立国語研究所, 研究開発部門, 外国人特別研究員
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Keywords | パラ言語情報 / 声質 / STRAIGHT |
Research Abstract |
研究代表者が従来実施してきた音声によるパラ言語情報(話し手の意図や態度)の伝達機序研究の成果をひきついで、声質(voice quality)がパラ言語情報の伝達において果たす役割の解明をめざした研究を実施した。 声質にはおおきくわけて声道の調音にかかわるものと喉頭における発声にかかわるものとがあり、研究代表者による従来の研究では前者を主に分析対象としてきたが、本研究では後者をとりあげて本格的に研究することとした。 今年度は、研究代表者が既に収集して分析に利用した各種音声を対象として、主に音響的指標によって喉頭における声帯振動の様式を推定する研究を実施した。具体的には声門開大度の指標として、音声波形のFFTスペクトラムの第1倍音と第2倍音のレベルの差(H2-H1)を、また喉頭音源スペクトルの周波数軸上での傾斜の指標として第1倍音と第3フォルマント周波数に最も近い倍音とのレベルの差(A3-H1)を用いた。測定の結果、いずれの指標においてもパラ言語情報の種類(「疑い」「落胆」「感心」等)による組織的な変動が観察されている。また多音節語の場合、音節の位置による変動も存在するらしいことが推察された。 この研究成果は2006年にドレスデンで開催される国際会議Speech Prosody 2006に投稿し、採択が決定した。その後、本年度末には合成音声を用いた知覚実験の準備をすすめた。来年度にはこの知覚実験を実施する予定である。
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