2005 Fiscal Year Annual Research Report
極性官能基を有する新規ポリオレフィンの創製を指向した高性能錯体触媒の設計・合成
Project/Area Number |
05F05397
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
野村 琴広 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Jing-Yu 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 遷移金属錯体触媒 / 精密重合 / チタン錯体触媒 / 極性官能基の導入 / 新規ポリマー / ルテニウム錯体触媒 / 触媒設計 / エチレン系ポリマー |
Research Abstract |
本課題は、極性官能基を有するオレフィン系ポリマーの革新的合成新手法の創製を可能とする高性能触媒の創製を主目的としている。特に、従来の超高温・高圧(ca.1000atm)条件下でのラジカル共重合(オレフィンと極性モノマーとの共重合)やポリマーの飽和炭化水素主鎖のフリーラジカル反応(ポリマーの直接官能基化・変性、グラフト化)より格段に温和な条件下で、均一組成の材料の精密合成を可能とする新手法の開拓を目的としている。平成17年度は、従来触媒では環化が優先する非共役ジエンの重合で、「ポリマー側鎖に二重結合を導入できれば、続く化学反応で任意の極性官能基を容易に導入できる」点に注目し、以下の研究成果を得た。 ハーフメタロセン型のフェノキシ及びケチミド配位チタン錯体触媒、Cp'TiCl2(X)[Cp'=Cp,^tBuC_5H_4,C_5Me_5;X=O-2,6-^iPr_2C_6H_3,N=C^tBu_2]、による非共役ジエン、特に1,5-ヘキサジエン(HD)と1,7-オクタジエン(OD)の重合を検討した。フェノキシ配位チタン錯体触媒を用いるODの重合では、環化よりも続くモノマーの挿入が優先し、ポリマー側鎖にオレフィン二重結合を有するポリマーを与えた。さらに、この重合が擬リビング重合挙動をとることも明らかになった。ケチミド配位錯体によるODの重合は使用するシクロペンタジエニル配位子の影響を強く受け、Cp錯体では重合が初期で停止しまうことが明らかになった。触媒活性や得られるポリマーのミクロ構造(環化・続くモノマーの挿入)は、特に使用するアニオン性支持配位子の影響を強く受けることを明らかにした。触媒活性へのモノマー濃度や触媒濃度の効果を詳細に検討し、この重合における選択性へ影響を及ぼす因子を詳細に解析した(論文作成準備中)。
|