2006 Fiscal Year Annual Research Report
家族性癲癇における内向き整流性カリウムチャネルの解析
Project/Area Number |
05F05487
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
倉智 嘉久 大阪大学, 医学系研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LOSSIN Christoph 大阪大学, 医学系研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 内向き整流性K^+チャネル / アストロサイト / 癲癇 / K^+-buffering action |
Research Abstract |
我々は、脳アストロサイトに発現するK^+チャネルに焦点を当て、癲癇の病因の分子基盤の解明と、その治療法の開発を目的に研究を行っている。このチャネルは神経活動により上昇した細胞外のK^+を迅速に取り込む役割(K^+-buffering action)を担っており、神経機能維持に重要な役割を果たしている。生体内でこのチャネルは、内向き整流性K^+チャネルのKir4,1とKir5.1から構成されている。一般に、チャネルに作用する薬物を探索し、その効果を詳細に解析することは、疾患に対する新しい治療薬を開発するために重要である。本年度は、アストロサイトのK^+チャネルの機能的ユニットであるKir4.1チャネルが、抗不整脈薬であるキニジンにより阻害されることを見出した。HEK293T細胞へ外因性に発現させたKir4.1を用いて、その電流をパッチクランプ法で測定し、キニジンを投与することで、電流に対する効果を観察した。キニジンは、時間・濃度依存性にKir4.1電流を抑制した[IC_<50>(+20mV/[K^+]_0=5.4mM):31μM]。興味深いことに、抑制効果は電位依存性であり、外向き電流がより強く阻害される傾向にあった。 今後は、このキニジンの薬理作用を、電気生理学的手法を用いて、更に詳細に解析していく予定にしている。また、立体構造モデリングの手法を用いて、キニジンの結合部位を予測し、その抑制効果のメカニズムを解明したいと考えている。これらのデータを基盤として、Kir4.1を活性化・阻害する新たな薬剤を見出し、癲癇の病態基盤の解明と治療薬の開発に結びつけたい。
|
Research Products
(1 results)