2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05F05612
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
山内 泰 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノマテリアル研究所, 主席研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
XIA SUN 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノマテリアル研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | スピン / 2次電子 / 表面 / モンテカルロ / シミュレーション / 散乱 / 偏極 / 磁性体 |
Research Abstract |
スピン素子の性能は従来の半導体素子と同様に界面の性質によって大きく左右される。この界面の電子状態、特に従来の半導体産業では研究対象とされなかったスピン状態についてほとんど研究がされていない中で、素子の性能そのものをパラメータに技術開発が先行している。物質材料研究機構では、この界面を模擬した最表面のスピン状態さえ充分に研究されていない状況を打開するため、最表面の電子状態を計測できるスピン偏極準安定脱励起分光法を独自に開発し、磁化した強磁性体最表面のスピン状態を計測してきた。この実験的成果をもとに、より高性能のスピン素子およびスピン工学材料の開発に資することを目的に、スピン工学材料の表面最外層スピン偏極の振る舞いに対して計算機を用いた理論的研究を実施した。特に、スピン偏極準安定脱励起分光法によって初めて最表面外側に分布する占有状態の電子のスピンを計測することが可能となったが、準安定原子の脱励起にともなって放出されるスピン偏極電子は散乱され、偏極が部分的に消失すると考えられることから、実際の表面電子のスピン偏極度を評価する上で放出電子のスピンに依存した散乱過程の解明は不可欠である。本年度は、モンテカルロ法に基づく電子のスピン依存散乱過程のシミュレーション計算を行うことにより、電子線励起の実験で得られた放出2次電子のスピン偏極の挙動を明らかにすることができた。モンテカルロシミュレーシヨンの主な計算は、導入したPCで実行したが、併せて実施したスピンに依存したバンド構造計算は物質材料研究機構に設置された材料数値シミュレーターで行った。
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