2005 Fiscal Year Annual Research Report
樹木木部中のアポプラスティックネットワークの構造と機能
Project/Area Number |
05F05646
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
藤原 健 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 室長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG Chunhua 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 外国人特別研究員
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Keywords | 細胞間隙 / 壁孔構造 / アポプラスティックネットワーク / 心材成分拡散経路 |
Research Abstract |
1 アポプラスティックネットワークとしての水平樹脂道 細胞間隙の一つである水平樹脂道に着目し、師部、形成層帯及び木部について連続板目切片により、水平樹脂道の形成過程を追跡した。師部及び木部においては、紡錘形放射組織中の細胞間隙として水平樹脂道が観察されたが、形成層帯中では観察されなかった。しかし、紡錘形放射組織に分化する放射組織形成層細胞の中心部には、他の細胞に比べてやや小径で染色特性が異なる細胞群が存在した。これらの細胞群は樹脂道を取り囲むエピセリウム細胞に分化すると考えられ、いわばエピセリウム形成層細胞というべきものであると考えた。 2 物質の拡散経路としての壁孔膜の構造 心材物質分布の細胞間の不均一性を明らかにするために、Albizia julibrisiinおよびAcasia manguimの2種類の広葉樹材について、木部繊維間の壁孔対の構造を電子顕微鏡を用いて解析した。心材の超薄切片の観察によって、壁孔対を通して心材物質が拡散する状態、他方は壁孔間に存在する壁孔膜によって心材物質がブロックされた状態の2種類の壁孔対が観察された。このため、すべての壁孔対が心材物質の移動経路として機能しているわけではないことが明らかになった。これら物質の拡散に寄与する壁孔膜の構造をFE-SEMによって辺材部の壁孔について詳細に観察した結果、壁孔膜がある種の物質によって被覆されている場合が多いが、その被覆の程度や壁孔膜の構造には壁孔対間の変異が大きかった。厚く被覆されているものでは、膜面に空隙が存在しないが、被覆が薄い壁孔膜では、開口部が存在した。ときに壁孔膜の中央に大きな開口が存在する場合があった。このような壁孔膜の状態の違いが、心材物質の不均一な分布に寄与していると考えた。
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