2005 Fiscal Year Annual Research Report
水蒸気雰囲気中でのレーザーアブレーションによる医療応用ナノ構造薄膜の調製
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05F05669
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
越崎 直人 独立行政法人産業技術総合研究所, 界面ナノアーキテクトニクス研究センター, 研究チーム長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE Baek-Hee 独立行政法人産業技術総合研究所, 界面ナノアーキテクトニクス研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | レーザーアブレーション / 水蒸気雰囲気 / アパタイト / ナノコンポジット / 同時スパッタ法 / 薄膜 |
Research Abstract |
アパタイトは骨や歯を構成する無機物質であり、これを人工的に合成して生体代替材料として利用しようとする研究は数多く進められてきた。しかしアパタイトだけでは十分な力学的性質を持たせることは困難であり、チタンなどの軽量高強度金属にアパタイトを表面修飾することにより生体親和性を持たせようという試みが検討されてきている。しかし、アパタイトはゼオライトなどの他の含水性酸化物と同様にナノメータースケールの薄膜を得ることは非常に困難であり、ミクロンスケールの厚膜の生成が必要だった。 本研究ではレーザーアブレーション法によるアパタイト薄膜合成を目指して、研究代表者のグループが新たに開発した水蒸気雰囲気下でのレーザーアブレーション装置を利用した実験を開始した。研究の初期段階として、これまで装置の動作条件の最適化とレーザー光照射位置を実験中に変化させるための改造などについて検討を進めてきた。今後は、さまざまな調製パラメータと生成物の関係について検討し、最適な水蒸気中でのレーザーアブレーションによる最適なアパタイト薄膜調製条件を探索する。 これと平行して、同時スパッタ法によるアパタイト/酸化チタンナノコンポジット薄膜の調製についても検討を開始した。これはアパタイト単独ではナノメータースケール薄膜の調製が難しいことから、生体親和性をもつ酸化チタンとナノコンポジット化することによりこれを克服しようとするものである。これまでに、蒸着直後の表面は平滑な薄膜が得られているがアパタイト相は観測されなかった。しかし熱処理により結晶相が形成され表面形態も特異な構造が形成され、骨芽細胞の付着性の向上が期待される。今後、チタン金属やTi-V-Al合金上にナノコンポジットを蒸着させその表面の生体模倣液中での表面反応状態の測定を含めた実験を進めていく予定である。
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