2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J00023
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Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
岩本 崇 大手前大学, 史学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 古墳時代 / 墳墓 / 副葬品 / 銅鏡 / 武器 / 流通 / 副葬 |
Research Abstract |
今年度は、主に古墳出土の副葬品の生産と流通にかかわる分析を実施した。対象とした副葬品は、鉄製刀剣、筒形銅器、三角縁神獣鏡である。 まずは、これまで資料化を進めていた鉄製刀剣類にかんする論考を作成した。おもに鉄剣を中心的にとりあつかい、その装具の形態が機能と密接にかかわる可能性を考慮して、装具の形態変化から鉄剣の変遷を説明した点が特徴である。あわせて、その生産体制についても素描し、中期初頭段階に画期があったことなどを指摘した。 また、筒形銅器にかんしては日本列島出土例について資料見学を実施し、実測図の作成、写真撮影などの資料化を進めた。そのうえで、本年度はとくにその使用と副葬のあり方について検討を深め、古墳に副葬されるその背景を考察した。副葬方法や分布、出土古墳の特徴などから、すべての筒形銅器が倭王権による分配によって各地の古墳被葬者のもとにもたらされたと考える必要がないことを説いた。従来、筒形銅器は王権内の勢力抗争に用いられた器物と評価されてきたが、そうした考えを根本から検証する必要性を指摘した。 さらに、いまだ十分な成果発表をおこなっていない、舶載三角縁神獣鏡について未見の資料について閲覧をおこない、断面図の作成、写真撮影を実施した。なお、この過程でこれまでの自身の三角縁神獣鏡にかんする研究成果について、口頭発表の機会をもつとともに、一部の例を用いて、三角縁神獣鏡の鋳型をおこす際に使用された挽型の実態と挽型の複数回使用についての論考を作成した。そのなかで、挽型の共有が三角縁神獣鏡の生産面の特徴のひとつに数えることが可能であると指摘した。 そして、上記の成果を含めたこれまでの論考を博士課程論文にとりまとめ、提出した。 なお、フィールドワークとして、兵庫県香美町文堂古墳の測量調査を実施した。
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Research Products
(7 results)