2006 Fiscal Year Annual Research Report
センダイウイルスの持続感染機構の解析と遺伝子治療用ベクターへの応用
Project/Area Number |
05J00168
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
西村 健 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオセラピューティック研究ラボ・産総研特別研究員(PD)
|
Keywords | 遺伝子治療 / センダイウイルス / ウイルスベクター / 持続感染 / インターフェロン |
Research Abstract |
本研究では細胞傷害性が極めて低く、かつ長期にわたって細胞質内で安定な遺伝子発現を維持できるセンダイウイルス(SeV)Cl.151株の性質に着目し、その持続感染機構の解析を通して、遺伝性代謝疾患等の遺伝子治療において有用な、細胞質内で長期間安定に存在できるRNA遺伝子発現系の開発を試みている。 昨年度、Cl.151株全長cDNAを骨格としたSeVベクターから、EGFP遺伝子等の外来遺伝子がin vitro、in vivoともに長期間持続して発現すること明らかにしたので、今年度はベクターの安全性を向上させるために、いくつかのSeV遺伝子をベクターゲノムから欠損させることによって、感染性粒子を産生せず非伝播性なベクターに改良することを試みた。M、F、HN各遺伝子を欠損させたCl.151株cDNAから組換えSeVの作製を試みたところ、上記各遺伝子を単独に欠損させた組換えSeVは各々作製可能であり、持続感染能を維持していた。このことから、M、F、HN遺伝子はその発現が持続感染には必須ではなく、これらの遺伝子を欠損させた非伝播性持続感染型SeVベクターが作製可能であることが明らかになった。またこの過程で、ヒト型コドンに変換したT7 RNA polymerase遺伝子発現細胞を用いた、効率の良い組換えSeV作製方法の確立に成功した。 また昨年度の、持続感染にはM、F、L遺伝子上の複数の変異が必要であるという結果を受けて、L遺伝子のみをCl.151株由来にした組換えSeVを作製してその性質検討を行った結果、その組換えSeVは細胞障害性が減弱し、感染細胞におけるインターフェロンの発現誘導が低下していた。このことから、SeV感染に対するインターフェロン誘導を抑制することが持続感染には重要であり、L遺伝子上に生じたCl.151株由来変異によってそのような抑制が起きているということを明らかにした。
|
Research Products
(1 results)