2007 Fiscal Year Annual Research Report
センダイウイルスの持続感染機構の解析と遺伝子治療用ベクターへの応用
Project/Area Number |
05J00168
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
西村 健 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, バイオセラピューティック研究ラボ, 特別研究員(PD)
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Keywords | 遺伝子治療 / センダイウイルス / ウイルスベクター / 持続感染 / インターフェロン |
Research Abstract |
本研究では細胞傷害性が極めて低く、かつ長期にわたって細胞質内で安定な遺伝子発現を維持できるセンダイウイルス(SeV)Cl.151株の性質に着目し、その持続感染機構の解析を通して、遺伝性代謝疾患等の遺伝子治療において有用な、細胞質内で長期間安定に存在できるRNA遺伝子発現系の開発を試みている。 昨年度、Cl.151株全長cDNAからM、F、HN各遺伝子を欠損させた組換えSeVの作製に成功したことを受け、今年度は、M、F、HNすべての遺伝子をブラストサイジン耐性遺伝子等の遺伝子と置き換えて欠損させた、非伝播性持続感染型SeVベクターの作製を試み、作製に成功した。次に、これらのベクターの持続感染性について検討した結果、ブラストサイジン添加の条件下では2ケ月以上感染が100%維持されており、ブラストサイジン非添加の条件下でも、ほぼ100%感染が維持された。以上の研究により、安全性、発現持続性を併せ持つ、非常に有用なツールである、非伝播性持続感染型SeVベクターの開発に成功した。 また昨年度、SeV感染に対するインターフェロン誘導を抑制することが持続感染には重要であり、L遺伝子上に生じたCl.151株由来変異によってそのような抑制が起きているということを明らかにしたことを受け、L遺伝子変異SeVを用いて、SeV感染によるインターフェロン誘導メカニズムの解析を行った。その結果、L遺伝子変異SeV感染細胞では、ウイルス由来RNAのうち、ゲノム3'末端から転写され、リーダー配列からその下流までread throughしたRNAのコピー数が、特に感染初期において減少していたことから、これらのRNAがインターフェロン誘導因子として働いている可能性が示唆され、それらの発現量の減少によって細胞側のウイルス認識機構から逃れて持続感染していると考えられた。
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Research Products
(4 results)