2007 Fiscal Year Annual Research Report
産業連関分析手法を応用した分離可能性仮説を課さない定量的な家計消費行動分析の研究
Project/Area Number |
05J00456
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
板 明果 (佐々木 明果) Waseda University, 政治経済学院, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ライフスタイル / LCA / 廃棄物産業連関表 / 消費者行動モデル / マテリアルフロー分析 |
Research Abstract |
多くの既存研究における消費者行動モデルは、消費バンドル間の分離可能性を暗黙的に課すことで成立している。ところが、分離可能性仮説を課すことで見落とされる消費バンドル間の関連性がある。特に、耐久財とその他の消費(通常財サービス等)に多くみられる。冷蔵庫を例にすると、冷蔵庫の保有は1日分以上の生鮮食品を購入・保存することを可能とさせる。冷凍庫付き冷蔵庫(冷凍冷蔵庫)を保有した場合、氷やアイスクリーム、冷凍食品なども新たに購入可能となる。耐久財はこれまでは購入できなかった財サービスを新たに消費の選択肢に加える。ところが、耐久財と消費者行動の関係性に注目した先行研究は存在するものの,これまで定説的な議論に止まっている。そこで,耐久財を保有することが消費者に商品・サービスの選択の幅を拡げる効果を持つことを考慮した新たな消費者行動モデルを提案した。さらに、このようなライフスタイルの変化による環境へのインパクトを、廃棄物産業連関表を用いて評価した。 冷凍冷蔵庫と、冷凍庫無し冷蔵庫での比較を行った。製造時の環境影響評価のほかに、ライフスタイルの変化を以下のように設定する。冷凍冷蔵庫を保有する家計は、現状の食品購入構成比を用い、現状通りの支出をするものとする。冷凍庫無し冷蔵庫を保有する家計は、冷凍食品・冷凍魚介類などは購入しないが、同量分の生鮮食品を購入するものと仮定する。また、冷凍庫無し冷蔵庫を保有する家計は商店街の小売店などに徒歩で買い物に出かけ、冷凍冷蔵庫を保有する家計は車で5km離れたスーパーマーケットへ車で週2回買い物に出かけると仮定する。この結果、冷凍冷蔵庫を保有する家計は、冷凍庫のない家計に比べて3倍程度のCO2を排出していることが分かった。冷凍冷蔵庫の登場による購入食品の変化を通じた環境への影響は限定的であるが、ライフスタイルの変化を通じて総合的には環境負荷が増加してきたことが示唆された。
|