2006 Fiscal Year Annual Research Report
知的財産マネジメント能力の形成および蓄積に関する国際比較研究
Project/Area Number |
05J01088
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 成弘 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 知的財産マネジメント / 組織能力 / 国際比較 / 特許書誌分析 / 知的財産契約 / 福井謙一 / 産学連携 / 研究マネジメント |
Research Abstract |
(1)日米エレクトロニクス企業の知的財産マネジメントを定量的・定性的に分析しその形成と展開を叙述するため,昨年度より引き続き日米の特許庁の発行する公報媒体を用いた特許書誌データベース作成を行うとともに,企業に対するヒアリング調査を実施した。ゼネラル・エレクトリック社の日本子会社であるGE横河メディカルシステム株式会社特許室長・高木昭雄氏へのヒアリングを実施し,米多国籍企業の東アジアにおける国際的な知的財産マネジメントと組織について情報を得た。これらの定量的・定性的データを用い1990年代以降のグローバルな知的財産マネジメントの展開について論文を作成中である。(2)知的財産マネジメントの形成を国際比較の点から行う一環として,デラウェア州ウィルミントンおよびニューヨーク州スケネクタディにて資料収集を行った。19世紀末から20世紀前半までのGE社が締結した特許契約・ライセンス契約文書を中心とした史料の収集に成功した。知的財産契約を類型分析しその変化を研究開発や経済情勢の推移と関連付けることによって,アメリカにおける知的財産マネジメント能力の形成と発展が叙述できると考えられる。現在,これら収集した史料を解読し類型化している作業中であるが,来年度には研究成果を学術論文として発表する予定である。(3)日米企業の知的財産マネジメント能力の形成と展開をより実践的な観点から分析するために,産学連携における知的財産マネジメントに関する調査・分析を行った。福井謙一博士(ノーベル化学賞受賞)が発明者となっている特許が199件あること,産学連携を利用した研究マネジメントを行っていたこと,知的財産マネジメントも社会的リソースを利用していたことを明らかにした。これらの分析手法は,現代の大学における研究開発指針への応用とともに,本研究課題である知的財産マネジメント能力の史的分析にも応用できるものである。
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