2006 Fiscal Year Annual Research Report
百GeV領域の高解像度スペクトル観測によるガンマ線パルサーの粒子加速機構の解明
Project/Area Number |
05J02141
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中森 健之 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1) (30531876)
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Keywords | 国際研究者交流 / オーストラリア / 高エネルギーガンマ線 / パルサー / 天体観測 / チェレンコフ望遠鏡 |
Research Abstract |
オーストラリアの砂漠地帯ウーメラに設置されたCANGAROO-III大気チェレンコフ望遠鏡を用いて、2006年4月から6月にかけてガンマ線パルサーPSR B1509-58を実効時間で約48時間の観測を行い、データ解析によって7σを超える有意度でガンマ線信号を捕らえることに成功した。ガンマ線放射は我々の望遠鏡のpoint spread function (PSF)よりも広がった形状を示しており、同じ南天に設置されたH.E.S.S.望遠鏡による報告を確認することができた。その広がりの大きさは彼らとのPSFの違いを考慮に入れて同程度であり、方向に関してもX線の観測で見つかっているパルサーから伸びたジェットに沿った向きであることを確認した。また同時に890GeVから5TeVに渡るエネルギーバンドで微分フラックスを求め、べき型関数をフィットしたところphoton indexが2.3±0.5と決まった。これら結果を論文としてまとめ、現在投稿準備中である。2006年11月から約1ヶ月現地に滞在し小マゼラン星雲の観測を行った。望遠鏡は荒野の野外に設置されているため、反射鏡の汚れによる劣化が起こる。その回復を図るため観測期間終了後に大量の水を用いて主鏡の洗浄作業を行った。また観測の合間に、パターントリガーモジュールと呼ばれる夜光によるトリガーを押さえることを目的として開発されたボードの性能評価のための試験データを取得し、現地でデータ解析を行って正常に動作していることを確認し、定量的な評価を現在行っているところである。
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