2005 Fiscal Year Annual Research Report
RhoファミリーG蛋白質Rnd2とエフェクター、ラポスリンの新規神経機能の探究
Project/Area Number |
05J02337
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柿本 哲宏 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 神経突起 / 分枝化 |
Research Abstract |
最近、私の研究するラポスリンと非常に相同性の高い分子、Toca-1が同定された。Toca-1は、代表的なRhoファミリーの一つであるCdc42により活性化されるN-WASPのアクチン重合活性に必須であることが生化学的実験で示された。そこで、私はRnd2-ラポスリンによる神経突起分枝化の分子機構を解明するために、まず、上述のように分子機構がより詳しく解明されているラポスリン類似分子Toca-1の神経機能を調べることにした。Toca-1は発達段階の脳において、海馬や大脳皮質などの神経細胞に強く発現していた。神経細胞のモデル細胞であるPC12細胞において、RNA干渉によりToca-1をノックダウンすると神経突起の伸長が促進された。逆に、Toca-1を強制発現させると、神経突起の伸長が抑制され、この抑制作用はToca-1のアミノ末端を介していた。Toca-1はまた、強制発現させると、アミノ末端を介して細胞膜の陥入を引き起こしたので、Toca-1の神経機能に膜輸送機構が関与していることが示唆された。さらに、ラット初代培養海馬神経細胞において、Toca-1をノックダウンすると軸索の分枝化が促進されたが、軸索伸長には有意な変化がみられなかった。これに対して、初代培養海馬神経細胞において、N-WASPをノックダウンすると軸索の分枝化に加えて軸索の伸長も促進された。このことから、上述の生化学的実験から示唆されたこととは異なって、Toca-1はN-WASP活性化に必ずしもいつも関与している訳ではないことがわかった。Toca-1はアミノ末端で膜輸送機構を介して、軸索の分枝化を制御していると考えられるので、ラポスリンによる神経突起分枝化にもラポスリンのアミノ末端による膜輸送の調節機構が重要な役割を果たしていると推測される。
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