2005 Fiscal Year Annual Research Report
ラット卵子における細胞分裂停止因子(CSF)の解明と体細胞核移植への応用
Project/Area Number |
05J04322
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
伊藤 潤哉 生理学研究所, 行動・代謝分子解析センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 卵子 / 活性化 / 核移植 / 受精 / キナーゼ / カルモジュリン |
Research Abstract |
ラット卵子を体外で培養するとp34^<cdc2> kinase活性が低下したことから,受精時においてp34^<cdc2> kinaseの不活性化に関わるCalmodulin依存性キナーゼ(CaMKII)が,ラット成熟卵子に果たす役割について検討した.その結果,電気パルスで活性化処理した卵子では,リン酸化型p-CaMKII(Thr286)が増加した.これらの卵子ではcyclin BおよびMosの低下が認められた.一方活性化処理後,CaMKII抑制剤KN93で処理するとp-CaMKIIの増加は抑制され,cyclin BおよびMosの減少も抑制された.さらに活性化処理後,protein phosphatase(PP)抑制剤オカダ酸で処理すると,p-CaMKII量は著しく増加した.以上のことから,ラット卵子の活性化時にはCaMKIIのリン酸化が起こり,cyclin BとMosが低下することが明らかにされた.またPPはCaMKIIのリン酸化を負に制御していると考えられた. さらに除核したラット卵子でMos/MEK/MAPK活性が低下する原因について検討した.その結果,操作完了直後では,細胞質除去区,除核区ともp34^<cdc2> kinase活性は変化しなかったが,その後除核区では急激に低下し,cyclin Bも減少した.また除核区ではMEK,MAPKは早期に不活性化した.さらに除核卵子をproteasome inhibitor(MG132)とオカダ酸で処理するとcyclin Bとp-MAPK量の両方が増加した.以上のことから,ラットMII卵子の核及び周辺部にはcyclin Bの分解とMAPKの脱リン酸化を抑制する因子が存在すると考えられた.
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Research Products
(3 results)