2005 Fiscal Year Annual Research Report
地質時代の海洋化学環境の復元:海成石灰岩に記録された古代海水の希土類元素存在度
Project/Area Number |
05J05208
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田中 万也 広島大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 石灰岩 / 希土類元素 / 古代海水 / laser ablation ICP-MS |
Research Abstract |
本年度は主に以下の二点について研究を進めた。 (1)laser ablation ICP-MS法を用いた炭酸塩中の希土類元素分析法の確立 laser ablation ICP-MS法では紫外線レーザーを用いて固体試料を蒸発・粒子化し、分析系に導入するため、固体試料の微小領域(10〜100μm)の微量元素濃度を直接分析できる利点がある。laser ablation ICP-MS法では個々の分析試料に対して均質な固体標準試料を準備するのが現実的に難しいため、NISTガラス標準試料が幅広い試料に対して用いられている。しかし、炭酸塩試料とNISTガラスではマトリックス組成が大きく異なるため、分析に与える影響の程度を評価する必要がある。キャリアーガスなどの分析条件を丁寧に調整することによって、マトリックス効果が軽減できることが明らかとなった。この研究成果については論文原稿にまとめ、現在学術雑誌に投稿中である。 (2)アラゴナイトからカルサイトへの再結晶化における希土類元素濃集過程の解明 生物性炭酸塩を起源とする石灰岩は現世のサンゴに比べて10^2〜10^4倍希土類元素を濃集していることが知られている。これは生物性炭酸塩が堆積後の初期続成作用の過程で無機的な炭酸塩カルシウムに再結晶化する際に起こっていると考えられる。そこで、希土類元素を添加した水溶液中にサンゴ(アラゴナイト)を常温で二週間から一ヶ月ほど浸した。XRD分析を行った結果、アラゴナイトの一部がカルサイトに再結晶化されていることが明らかとなった。また、この一部カルサイト化したサンゴを塩酸で分解した後、solution ICP-MSを用いて希土類元素分析を行った結果、元々含まれている以上の濃度が検出された。希土類元素濃集部(カルサイト)は微小であると考えられるため、今後laser ablation ICP-MSを用いてこれらの濃集部を直接分析する予定である。
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Research Products
(2 results)