2006 Fiscal Year Annual Research Report
C・R・マッキントッシュを中心とする、イギリスにおける意匠美学の研究。
Project/Area Number |
05J05336
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川口 佳子 広島大学, 大学院社会科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | C.R.Mackintosh / 意匠美学 / 透過性 / デザイン / 手法論 |
Research Abstract |
本研究は、マッキントッシュのデザイン手法における「透過性」という特徴を中心として、これにより建築作品及び受容者の経験にもたらされる、広義の意匠美学を探るものである。本年度は主に以下のような研究を行った。 (1)社会的コンテクスト(建築作品の受容史・グラスゴー都市史)の研究 マッキントッシュの作品の同時代の受容のあり方を探るべく、17年度の調査で得た資料等をもとに、グラスゴーのティールーム史および都市史の研究を行った。この成果は、論文「建築の『メディア』性に関する一考察-近代都市グラスゴーとティールーム-」において明らかにした。 同時代英国でのより全般的な受容に関しても、当時の批評を通して理解することを進めている。さらに、欧米近代建築史あるいはモダニズムの文脈での研究も、昨年度より進行中である。この成果は、「近代建築のtransparencyに関する視覚文化史的考察-C・R・マッキントッシュとモダニズム-」として口頭発表した。 (2)マッキントッシュ自身のデザイン・コンテクストに関する調査研究 本研究はマッキントッシュの意匠に通底する美学を探る。そのためには、上記の社会的歴史的コンテクストの研究に加え、マッキントッシュ自身が「透過性」の意匠をいかに編み出したか?というより内的なコンテクスト、すなわち彼独自のデザインの手法論を解明する必要があると強く感じ始めた。この方面において、本年度は初期スケッチの手法の調査をイタリアで行った。また国内の研究者から、ドローイング等に関する資料提供、助言も得た。「透過性」を中心とするデザインの生成を実証的に解明することは、本研究の専門性を左右する重要な課題である。 そこで今後は、マッキントッシュの実際の建築作品、著述、ドローイング等の資料をもとにデザイン手法の調査をより進め、さらには「透過性」のある家具や壁面等の、データの総覧を作成することを検討している。
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Research Products
(2 results)