2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本における血友病と血友病者の生活史の解明およびそれに付随する課題の考察
Project/Area Number |
05J05683
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
北村 健太郎 立命館大学, 大学院・先端総合学術研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 血友病 / 血液凝固因子製剤 / ホーム・インフュージョン / 血液供給システム / 全国ヘモフィリア友の会 / 患者運動 / 医療費の公費負担 |
Research Abstract |
当初の平成17年度の研究計画では、「もっとも有名な血友病者の一人である、大西赤人のライフストーリーをまとめて記述すること」であった。そして実際に、浦高事件を取り上げた「大西赤人君浦高入学不当拒否事件--大西赤人と巨人が求めたこと」という論文を障害学会に投稿したが、採択されなかった。今後、査読の過程で指摘された問題点を克服していきたいと考えている。本年度は、浦高事件の膨大な資料の整理をするだけで予想以上の時間を費やした。そのため、大西氏への本格的なインタビューはまだできていない。しかしながら、大西氏との友好的な関係は維持できており、今後の研究協力、インタビュー調査に支障はないと思われる。 それと並行して「薬害」以前の血友病者の社会的状況を整理した論文「血液利用の制度と技術--戦後日本の血友病者と血液凝固因子製剤」「全国ヘモフィリア友の会の創立と公費負担獲得運動」を執筆し、これらは2006年3月刊行の『コア・エシックス』vol.2に掲載される予定である。 論文以外の(研究)活動としては、依頼原稿2本の執筆と学会報告1回を行った。依頼原稿の一つは、2004年12月9日の第18回日本エイズ学会会長シンポジウム「HIV感染症と血友病--回顧と展望」での報告を加筆修正したもので、『日本エイズ学会誌』vol.7No.2(2005年6月)に掲載された。もう一つは、東京にある血友病患者会「むさしのヘモフィリア友の会」からの依頼で、血友病の医療費についての原稿を執筆した。この「血友病公費負担制度の歩み」は、『むさしの会通信』第29号(2005年11月)に掲載された。学会報告は、2005年5月15日に「"ホーム・インフュージョン"の獲得過程」と題して、第31回日本保健医療社会学会大会(於:熊本学園大学 第6部会「当事者性、セルフヘルプ、当事者運動、社会統制」)で行った。
|