2005 Fiscal Year Annual Research Report
配位子光解離反応を用いた新規グロビン蛋白質の動的構造解析
Project/Area Number |
05J06726
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
牧野 正知 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ミオグロビン / サイトグロビン / ニューログロビン / X線結晶学 / 酸素 / ヘム |
Research Abstract |
本申請研究は、新規ヘム含有グロビン蛋白質であるサイトグロビンとニューログロビンを研究対象とし、立体構造を基盤とした研究を展開する。両者の外部配位子結合時には、これまでの研究より蛋白質の構造変化を伴うと予想されているが、詳細な配位子結合-解離機構は未解明である。その分子機構に迫るため、外部配位子結合状態、配位子解離直後の非平衡状態、そして外部配位子解離状態にかけての一連の構造を明らかにすることを目的とする。申請者はこれまでに、サイトグロビンの鉄三価型の結晶を得ており、この結晶を用いて外部配位子である一酸化炭素(CO)を用いたCO結合型結晶の調製を行った。補欠分子族であるヘムは、配位子結合-解離やヘム鉄の酸化還元に伴い、紫外-可視領域の吸収スペクトルが変化する。そこでこの性質を指標に、結晶中でのCO結合状態を安定に保持する条件について検討し、CO結合型であることを確認した。この結晶を用いて大型放射光施設SPring-8にて回折データを収集し、構造解析を行なったが、COのヘム鉄への結合を確認できなかった。これは結晶中でヘム鉄に結合したCOの割合が低いためと考えられた。そこで占有率を上げるために、市販のキセノン封入用の高圧セルをCO用に改良し、高圧下にて結晶を保持した。しかし結晶性が低下したため、構造解析には至らなかった。一方、ニューログロビンに関しては、今年度より新たに研究を開始した。そこで結晶化に必要となる大量発現系の構築と精製法を確立した。次に野生型での結晶化を行い、2.8Å分解能にて構造決定に成功した。加えてニューログロビンが有する3つのシステイン残基をアラニンに置換した変異体でも結晶化を行い、1.6Å分解能を与える結晶を得た。この結晶中のヘム鉄にCOを結合させるため、サイトグロビンと同様に結晶中でのCO結合体を調整し、その吸収スペクトルよりCO結合を確認した。今後、早期に回折実験を行ない、構造解析に取り組む。
|