2006 Fiscal Year Annual Research Report
カンボジア、アンコール王朝期における窯業技術の成立と展開に関する考古学的研究
Project/Area Number |
05J06882
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
田畑 幸嗣 上智大学, 外国語学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | クメール陶器 / アンコール朝 / 生産技術 / 東南アジア産陶磁器 / カンボジア、タイ / データベース |
Research Abstract |
今年度の研究では、前年度の継続調査として、カンボジアでの窯跡発掘調査を行った。具体的には、アンロン・トム窯跡の発掘調査である。発掘調査の調査期間は、平成18年12月末から19年1月初頭である。 すでに発掘調査許可を取り付けているため、発掘に先立ち、平成18年8月を中心とする一ヶ月間、カンボジア現地で事前調査をおこなった。事前調査の主な内容は 1)すでに選定してある調査区域内の再踏査と調査孔の選定、2)当該地区の詳細な地形図作成、3)前年度までに採集した資料の検討と図化、写真撮影である。また事前調査では、本調査にむけて宿舎選定、機材準備なども行なった。 本調査では、1週間の事前準備(草刈、安全確認等)と2週間の発掘調査をおこなった。その成果として、これまで東南アジアで知られている中で最も古い可能性のある窯跡一基を完掘し、窯体構造の理解が可能となった。おそらく、アンロン・トム窯跡は後のクメール陶器窯の祖形なのであろう。また、豊富な遺物も出土し、生産技術の系譜解明に大きく貢献することができると期待されている。発掘資料整理、報告書執筆は現在も進行中であり、来年度半ばに終了予定である。 資料(コンテナ30箱分)の分析に際しては、これまでの研究成果と比較、検討を行い、生産モデルを構築するための基礎資料とする。また、発掘調査で得られた炭化物試料は放射性炭素年代測定のラボへ送付した。分析結果は来年度初頭に受け取れる予定である。 今年度の調査成果は、モノグラフとして東南アジア考古学会誌へ投稿中である。
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