2005 Fiscal Year Annual Research Report
生理環境に応答するフォークヘッド型転写因子複合体の形成メカニズムとその機能
Project/Area Number |
05J07273
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山形 一行 筑波大学, 大学院生命環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 糖尿病 / フォークヘッド型転写因子 / タンパク複合体 / 翻訳後修飾 / アルギニンのメチル化修飾 / リン酸化修飾 / ユビキチン化修飾 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
フォークヘッド型転写因子Foxo1はインスリン依存的に糖新生律速酵素の発現を制御する転写因子であり、肝におけるFoxo1の機能亢進が糖尿病を惹起し、一方糖尿病モデルマウスでFoxo1の機能を減弱させるとその病態が改善することがマウスで証明されている。一方、細胞を用いた研究から、Foxo1は様々なタンパクと相互作用することでその機能が調節され、それが上記の表現形に寄与していると推察されている。 近年、転写因子には様々な因子が複合体を形成され、それが転写因子の多様な機能制御を担っていることが明らかにされつつある。我々は、培養細胞内でFoxo1にたくさんのタンパクが結合する(未発表)ことを見出しており、Foxo1においても複合体が形成され、それが機能制御を担っていることが想定される。しかしながら、Foxo1が、生体でいつ、どこで、どのような複合体を形成し、それがFoxo1をどのように制御しているのか、全く明らかにされていない。 このような背景の下、本研究では以下の知見を得た。 1)Foxo1結合因子としてヒストンアルギニンメチル化酵素であるPRMT1を同定した。 2)PRMT1はFoxo1そのものをメチル化した。 3)Foxo1のPRMT1によるアルギニンメチル化がその機能抑制に重要な役割を果たしているリン酸化を負に制御することを見出した。 4)Foxo1のメチル化はリン酸化がもたらす様々なFoxo1の「抑制スイッチ」、すなわち、Foxo1のリン酸化依存的なユビキチン化や細胞質への局在をOFFに出来ることが判明した。 5)PRMT1によるFoxo1のメチル化がFoxo1の転写活性を促進させ、その結果、細胞の酸化ストレス耐性に重要な役割を果たしていることを強く示唆する結果が得られた。 現在、更なる解析を継続中である。
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