2005 Fiscal Year Annual Research Report
種数2の向き付け可能閉三次元多様体の位相幾何学的分類と幾何構造について
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05J08136
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
古宇田 悠哉 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1) (20525167)
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Keywords | 三次元多様体 / Heegaard分解 / Reidemeister-Turaev torsion / フロースパイン / 結び目 / Alexander多項式 |
Research Abstract |
1.Reidemeister-Turaev torsionは、3次元多様体においては、その上のSpin^c構造の不変量とみなすことができる。3次元多様体上の与えられたSpin^c構造に対し、これに同調するフロースパインを経由してHeegaard分解を構成することにより、この不変量を計算する一般的な方法を考案した。さらに、このアイデアを発展させ、Spin^c構造の入った3次元多様体を表示する方法として、「穴あき」Heegaard図式というものを定義し、この表示を用いて組み合わせ的に上の不変量を計算する方法を考案した。これにより、与えられたSpin^c構造のSeiberg-Witten不変量を組み合わせ的に計算することが可能となった。 2.有理ホモロジー球面M内の結び目Kは、ある非負整数gについて(g,1)分解を持つ。この分解を用いると、任意の正整数nに対し、結び目で分岐するMのn重強巡回被覆空間の基本群のg-巡回表示が得られることが知られていた。群のg-巡回表示に対しては、g-巡回多項式というものが自然に定義されるが、これがKのAlexander多項式と本質的に一致することを示した。これにより、計算が容易ではなかった有理ホモロジー球面内の結び目のAlexander多項式をアルゴリズミックに計算することが可能になり、またAlexander多項式の持つ基本的な性質を再確認することができる。 いずれの研究も、向き付け可能な閉3次元多様体とその上の構造をHeegaard分解を用いて考察したものであり、特に、種数の低い多様体の対しては、分類への具体的な考察に寄与するものである。
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