2005 Fiscal Year Annual Research Report
シリコンナノデバイス熱管理のためのマルチフィジックス現象解明
Project/Area Number |
05J08600
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
畠山 友行 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マルチフィジックス / 熱・電気連成解析 / CMOS / 相互作用 / インバータ / pn接合 / 空乏層 |
Research Abstract |
現在のLSIにおいては、CMOSといわれるデバイス構造が広く用いられている。CMOSとはn型MOSFETとp型MOSFETが、SiO_2絶縁層を挟んで並んでいる構造をとる。しかし、CMOSにおいて、n型MOSFETとp型MOSFETはSiO_2絶縁層で完全に絶縁されておらず、両MOSFET間の距離が小さくなることによって、互いのMOSFET動作が干渉し合う問題がある。しかし、過去の研究においては、この相互作用の原因・メカニズムの解明を行っている例は見られない。近年の技術の進歩から、SOI構造を用いて、n型・p型MOSFETを完全に絶縁する技術が用いられるケースも見られるが、互いのMOSFETをSiO_2絶縁層で完全に分離することは、SiO_2の熱伝導率の悪さから、深刻化しているLSIの熱問題に拍車をかけることは容易に想像できる。また、トランジスタレベルでは熱・電気の連成現象を扱い、チップレベルではフーリエの法則等を用いた熱のみの現象を扱うマルチフィジックス現象解明を行うにあたり、熱・電気連成解析を適用する範囲を決定する必要性があり、隣接するMOSFETの電気的な挙動が、注目しているMOSFETに与える影響を考察することは非常に重要である。そこで、本研究では、CMOSにおいてn型・p型MOSFET間に生じる相互作用の原因・メカニズムの解明を、熱・電気連成解析を用いて行った。CMOSの中でも最も基本的な回路であるCMOSインバータについて解析を行った結果、CMOSにおける相互作用の原因は、本来逆バイアスに保たれている基板同士のpn接合が、隣接するMOSFET間の距離が小さくなることによって順バイアスに変化することであることが明らかになった。また、そのメカニズムは、基板同士のpn接合周辺に生じる空乏層が、出力電位の影響を受けることによって、同電位に引かれることであることが解明された。
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