2007 Fiscal Year Annual Research Report
シリコンナノデバイス熱管理のためのマルチフィジックス現象解明
Project/Area Number |
05J08600
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
畠山 友行 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マルチフィジックス / 熱・電気連成解析 / デバイ長 / 支配長 / モンテカルロシミュレーション / Si MOSFET / CMOS / 熱問題 |
Research Abstract |
近年、LSIを代表とする半導体デバイスにおいて、熱問題が深刻化の一途をたどっている。本研究では、現在広く用いられている半導体トランジスタであるSi MOSFET及びn型・p型MOSFETを組み合わせたCMOSに着目し、熱問題に取り組んでいる。半導体デバイス内部では、電気的現象と熱的現象が非常に強い連成を示しており、温度分布・発熱挙動を解析するためにはこれら双方を考えなければならない。そのため、数値計算によって半導体デバイスを考察する際には、熱・電気連成解析が必要となる。昨年度、熱・電気連成解析を用いて、サブミクロンSi MOSFET内の現象を支配する長さとして、「キャリア温度」と「局所のキャリア数密度」を取り入れた「新しいデバイ長」を提案した。今年度は、この支配長に関して更なる考察を進めた。その結果、Si MSOFETにおける電極側からデバイス底面に向かう方向の支配長は昨年度提案した「新しいデバイ長」であるが,ソース電極からドレイン電極に向かう方向の支配長は全く違うものになる事が明らかとなった。マルチフィジックスの概念は、これらの支配長を一つ一つ明らかにして行く事によって完成されるため、マルチフィジックスの概念完成に向けて大きな一歩となった。更には、より微視的な観点から現象を眺めるための、モンテカルロシミュレーションコードも完成に近づきつつある。 また、実験用CMOSデバイスが完成し、n型MOSFET・p型MOSFET間の電気的相互作用を実験的に考察することに成功した。実験結果は、昨年度までの計算結果と良く一致しており、CMOSにおけるデバイス間相互作用は各MOSFETの基板同士が作るpn接合の幅が大きく関与している事を実験的にも明らかにする事に成功した。 現在までにマルチフィジックス現象解明手法の完成には至らなかったが、完成に向けて着実に進歩することができた。
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