2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J09035
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岸田 治 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 表現型の可塑性 / 共進化 / 誘導防御 / 地理的変異 / エゾアカガエル / エゾサンショウウオ / 誘導攻撃 / 膨満形態 |
Research Abstract |
1.可塑性の共進化仮説の実証:仮説を支持する実証的パターンの一つとして、生態学的時間スケールでの2種の両生類幼生間での対抗的形態の軍拡競争的発現様式を明らかにした。捕食形態を有するエゾサンショウウオ幼生からの危険に対してエゾアカガエル幼生が軍拡競争的に反応し、防御形態反応をより強く発現することを証明した(Kishida O, Mizuta Y & Nishimura K. Ecology, in press)。 2.捕食者誘導防御形態の遺伝的変異とその基盤の検証:カエル幼生の誘導防御形態に関し、捕食者の分布の文脈から期待される地理的遺伝集団間の変異を検出した。捕食者の分布しない奥尻島のカエル集団は、捕食者の分布する北海道本島の集団に比べて防御形態発現能力が著しく劣っていた。また、交雑集団では中間的な発現能力を示した。これらの結果は、捕食圧が誘導形態防御の進化的駆動として機能してきたことを示唆する数少ない実証例である(Kishida O, Trussell G & Nishimura K, in preparation)。 3.捕食者誘導防御形態の発生学的機構の解明 (1)捕食者特異的な誘導形態発現とその柔軟性:カエル幼生は異なる捕食者種に対して異なる防御形態を発現する。それらの形態反応の可逆性および種特異的形態間での柔軟な転換能力について実証した。また、野外調査データを交えて、その適応性を議論した(Kishida O & Nishimura K, J.Anim.Ecol., in press)。 (2)膨満形態誘導の分子遺伝学的研究:カエル幼生の膨満形態の発生機構の解明の第一歩として、誘導時に産生されているRNAを、RNAサブトラクション法によってリスト化した。結果から発現制御に関わる遺伝子について推論した(Mori T & Kishida O, et al., Biochem.Biophys.Res.Com.,2006)。
|
Research Products
(4 results)