2005 Fiscal Year Annual Research Report
組換えVSVを用いたC型肝炎ウイルスの感染機構の解明
Project/Area Number |
05J09374
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷 英樹 大阪大学, 微生物病研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | C型肝炎ウイルス(HCV) / シュードタイプウイルス / VSV / CD81 / FGFR5 / 細胞指向性 |
Research Abstract |
効率の良い細胞培養系を欠くため、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染機構の詳細は明らかにされていない。これまでに我々はCHO細胞を用いてHCVエンベロープ蛋白質を被ったシュードタイプ水疱性口内炎ウイルス(HCVpv)を作製し、その感染機構の解析を進めてきた。最近、同様にレトロウイルスを用いて293T細胞でHCVシュードタイプウイルス(HCVpp)が作製され、これらはCHO細胞で作製した我々のHCVpvとは異なる細胞親和性を示すことが報告された。そのため今回、我々も293T細胞を用いて、各種遺伝子型のエンベロープ蛋白質を被ったHCVpvを作製し、両細胞で作製したHCVpvの性状および感染指向性を解析した。 その結果、HCVpv/CHOはHepG2細胞に最も高い感染性を示したのに対し、HCVpv/293TはHepG2細胞には全く感染性を示さず、Huh7細胞に高い感染性を示した。これは既に報告されているHCVppの細胞親和性と同様の結果となった。 また、受容体侯補分子との関与を調べてみると、HCVpv/293Tの感染は抗hCD81抗体で中和されたが抗FGFR5抗体やhFGFR5/Fcでは中和は見られなかった。一方、HCVpv/CHOの感染は抗hCD81抗体で中和されず、抗FGFR5抗体やhFGFR5/Fcで中和されることが分かった。HCVppもhCD81依存的に感染出来ることが報告されており、HCVpv/293TはHCVppと同様の感染様式を持つシュードタイプウイルスであると考えられる。実際の患者血清中に存在するHCV粒子は、HepG2とHuh7のいずれの細胞にも結合親和性を示し、結合阻害実験の結果からhCD81にもhFGFR5にも関与していることが示唆された。 さらにヒト血清存在下では、コントロールであるVSVpvは感染阻害されるのに対し、HCVpvは逆に感染増強されることが分かった。ヒト血清中にはHCVの感染を助長させる何らかの因子が存在するものと考えられる。またC型肝炎患者血清に対する中和活性を調べてみると、HCVpv/293Tは容易に中和されたが、HCVpv/CHOは中和されにくいことも分かった。
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