2005 Fiscal Year Annual Research Report
透過型電子顕微鏡を用いた生体分子の高分解能無収差位相像観察
Project/Area Number |
05J09878
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野間口 恒典 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 高分解能透過型電子顕微鏡 / 生体分子観察 / 無収差位相像観察 / 3次元フーリエフィルタリング法 / 電子線照射損傷 / 低電子線照射 / DNA |
Research Abstract |
本研究の目的は,高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)を用いて生体分子の高分解能観察を実現することである.本年度は,無収差位相像を取得することが可能な3次元フーリエフィルタリング法(3DFFM)を用いて生体分子の1つであるDNAのHRTEM観察を行った.3DFFMは,フィルタリング処理によるS/N比の向上,精密なフォーカス調整が不必要,無収差位相像の取得が可能といった特徴を有しており,低電子線照射を強いられる生体観察に適していると考えられる.これまでに得られた研究成果は以下のとおりである. 1.DNA観察試料は、金グリッドにDNA溶液を滴下することで作製している.本試料は,真空中にDNAが保持されており高分解能観察に適した保持方法だと考えられる.しかし,観察視野が少なく良質な試料ではなかった.そこで,良質な試料を作製するための作製条件を検討した.その結果,孔径が100nm〜200nmの金グリッドを作製すること,金グリッド表面のコンタミネーションを加熱あるいはスパッタエッチングにより除去することが非常に重要であることが分かった.また,DNAを十分拡散させるためにDNA溶液作製後3時間以上放置する必要があることが分かった. 2.3DFFMを用いてDNAの塩基と塩基の間隔を解像するために必要な撮影枚数,フォーカスステップ,ドーズ量を計算と実験の双方から調べた.その結果,撮影枚数は64枚,フォーカスステップは8nm,ドーズ量は約400個/Å^2必要であることが分かった.そして,得られた条件でDNAの高分解能観察を行い部分的ではあるがDNAの構造を反映したコントラストを得ることに成功した.
|