2005 Fiscal Year Annual Research Report
弱い操作変数を含んだGMMおよびGEL推定におけるモーメント条件の選択について
Project/Area Number |
05J10189
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
早川 和彦 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 計量経済学 / パネルデータ |
Research Abstract |
平成17年度は以下の論文を21世紀COEプログラム『社会科学の統計分析拠点構築』のディスカッションペーパーとした。 1. "Small Sample Bias Properties of the System GMM Estimator in Dynamic Panel Data Models" April 2005, Hi-Stat Discussion Paper No.82. 2. "The Asymptotic Properties of the System GMM Estimator in Dynamic Panel Data Models When Both N and T are Large" January 2006, Hi-Stat Discussion Paper No.129. 3. "Efficient GMM Estimation of Dynamic Panel Data Models Where Large Heterogeneity May Be Present" January 2006, Hi-Stat Discussion Paper No.130. 1.はダイナミックパネルデータモデルの1つの推定方法であるシステムGMM推定量の小標本バイアスを漸近展開を用いて導出した。一般的に、GMM推定量の小標本バイアスは利用する操作変数の数に比例して大きくなることが知られているが、システムGMM推定量の小標本バイアスは、バイアスの要素が相殺しあって、操作変数の数が多い場合でも小標本バイアスが小さくなることを示した。 2.は時系列方向の次元(T)とクロスセクション方向の次元(N)が両方とも大きいときのシステムGMM推定量の漸近的な結果を議論した。未知パラメータに依存する特殊な場合を除いて、システムGMM推定量は一致推定量にならないことを示した。 3.はNとTが両方大きいときの推定と推測の問題について議論した。NとTが両方大きいときに一致性を持つGMM推定量は先行研究で、すでに知られているが、その推定量は(i)O(1/N)のバイアスが残る、(ii)推測を正しく行うことができない、という問題がある。3.ではこれらの問題を克服するために新しい操作変数の形を提案した。提案された操作変数を用いると、バイアスがO(1/NT)となり、推測も正しく行うことができ、漸近的に有効な推定量になることが示された。
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