2006 Fiscal Year Annual Research Report
弱い操作変数を含んだGMMおよびGEL推定におけるモーメント条件の選択について
Project/Area Number |
05J10189
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
早川 和彦 一橋大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 計量経済学 / 非定常時系列 |
Research Abstract |
次の論文を一橋大学21世紀COEプログラム『社会科学の統計分析拠点構築』のディスカッションペーパーとした。 (1)Kurozumi, E.and K.Hayakawa (2006): "The Asymptotic Properties of Efficient Estimators for Cointegrating Regression Models with Serially Dependent Errors", Hi-Stat Discussion Paper No.197 (2)Hayakawa, K.and E.Kurozumi (2006): "The Role of "Leads" in the Dynamic OLS Estimation of Cointegrating Regression Models", Hi-Stat Discussion Paper No.194. (1)では共和分誤差の従属性が強い場合に、3つの有効な推定量、Fully Modified OLS(FMOLS)推定量、Canonical Cointegrating Regression(CCR)推定量、Dynamic OLS(DOLS)推定量の極限分布を導出した。まず共和分誤差にAR(1)モデルを仮定し、自己回帰パラメータに単位根からO(1/T)だけ離れているlocal to unityアプローチを用いた場合、3つの有効な推定量はすべてOLS推定量と同じ極限分布を持つことが分かった。しかしながらシミュレーションの結果からは共和分誤差の従属性があまり強くない場合はOLS推定量と上の3つの推定量は異なる有限標本特性を持っていることがわかっており、この理論的結果ではシミュレーション結果を説明できない。そこで、単位根からO(1/L)離れているlocal to unityアプローチを考えた。ただし、LはTともに大きくなるが、L/T→0を満たす。その結果、FMOLS, CCR推定量はLと長期分散のノンパラメトリック推定に現れるバンド幅M、DOLS推定量はLとlead and lagの切断パラメータKとの相対的な大きさによって極限分布が変わってくることが分かった。LがM、Kに比べてゆっくり大きくなるときはどの推定量も2次バイアスのない有効な分布に従い、逆にLがM、Kに比べて速く大きくなるときはOLSと同じ分布になることが分かった。LとM,Kが同じ速さで大きくなるときは2次バイアスは部分的に減り、FMOLSとCCR推定量は同じ分布を持つが、DOLS推定量は異なる分布を持つことが分かった。 (2)ではDOLS推定量におけるLeadとlagの長さの選択方法を提案している。leadが必要かどうかはGranger因果性の検定と関係があり、もしleadが必要ない状況でleadとlagを両方入れた場合、leadをはずした場合では推定量のパフォーマンスに大きな差が出ることをシミュレーションで示した。
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