2006 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における「建築技術者」の「文化運動」にみる建築/都市像
Project/Area Number |
05J10192
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
佐藤 美弥 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(DC1) (60587872)
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Keywords | 近代史 / 都市史 / 文化運動 / 大正文化 / 都市文化 / 創宇社建築会 / 建築運動 |
Research Abstract |
都市化が急速に進行した時代の日本において、都市居住者はどのように建築や都市を認識し、表現したのかという問題を、建築技術者の文化運動を中心に多様な主体の交渉の過程として分析することを目的とする本研究の第二年度としての今年度、以下のような研究活動を行った。 1 昨年度に引き続き、『東京府統計書』、『東京市統計書』等の統計資料および代表的な建築技術者養成のための教育機関のひとつである工手学校関連史料(同窓会誌等)の収集・分析の結果、1900年代から10年代にかけての東京市内の建築における新技術の導入、大規模化、高層化といった建造環境の変化と各種学校を中心とした建築教育を含む工業教育熱の高揚という、同時期の建築技術者をめぐる環境が明らかになった。 2 建築や都市に対する認識の変化について、第一次世界大戦中・後および関東大震災後の建築専門誌その他の雑誌記事・新聞記事の収集・分析を行った。この研究の一部を「斎藤佳三と建築」として発表した。関東大震災後にかんしては諸展覧会に着目し、同時期に建築や都市というトピックが専門家を超越した社会的な問題として焦点化されたことを明らかにし、その状況下での建築技術者の運動である創宇社建築会(創宇社)の運動の意味を検討した。 3 NPO西山夘三記念すまい・まちづくり文庫において追加調査を行った。創宇社を中心とする運動関係者の調査については対象者との連絡調整を続け、来年度も継続する。 以上1-3の研究によって前史としての1910年代末から1930年代にかけての創宇社の運動とその意味がいっそう明らかになった。 4 本研究の狙いである「多様な主体」の動向にかんして、関東大震災前後の諸政党による都市問題・都市計画に対する反応について、先行研究・歴史的事実の整理を行った。 これらの研究成果の一部については口頭で発表した。以上の研究成果は今後、研究論文として発表していく予定である。
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