2005 Fiscal Year Annual Research Report
領域政治の再編とローカルガバナンスをめぐる地域民主主義の可能性に関する研究
Project/Area Number |
05J10200
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
丸山 真央 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 地方政治 / 地域社会学 / 政治社会学 / 地方自治 / 市町村合併 / リスケーリング / ローカルガバナンス / 地方分権 |
Research Abstract |
初年度の本年度は3つの課題に着手した。1)市町村合併(「平成の大合併」)をめぐる地域政治の社会学的研究。静岡県浜松市の広域合併を事例に、地域政治の諸アクターへのヒアリング調査や行財政の資料分析を行った。成果は学会報告したほか、論文投稿(掲載済)、単行本への論文執筆を行った。2)ポスト「大合併」段階の地域政治の実態の解明。浜松市旧佐久間町で調査を継続し、NPOを核にしたローカルガバナンスが模索され始めたことが確認された。比較研究のため岐阜県恵那市、新潟県上越市でも現地調査を開始した。成果は次年度に学会報告と論文投稿を行う。3)こうした地域政治のリストラクチュアリングと同時に進行する日本政治のマクロ変動の政治社会学的検証。ポスト55年体制期の政治社会的性格をとくに政治意識や政治文化から検討した。成果は学会報告と論文投稿(掲載決定)を行った。 以上から次の3点が明らかになった。「1.」「大合併」をはじめ地方分権や自治体行財政改革など1990年代以降の日本の地域政治・行政・社会の諸変化は、資本主義のグローバル化やポスト・ケインズ主義的フォーディズム段階の現代国家の新自由主義的再編といった政治経済の変動の中で生じている。「2.」これにより政治・行政の変化は、単に統治の制度機構再編や領域再編にとどまらず、「ガバメントからガバナンスへ」「行政から新しい公共経営へ」という統治の質的変化にまで及んでいる。「3.」これは特殊日本的現象ではなく、先進資本主義諸国を中心に進行する「スケールをめぐる政治経済」や「リスケーリング」の一形態に位置づけられる。ただし戦後日本の政治経済体制に依る特殊な性格も内包しており、今後東アジア諸国や北大西洋諸国との比較が必要である。 次年度以降は、以上の知見をより統合的に整理する理論枠組みを、国家-空間論を軸に構築し、現代日本地域・都市の政治経済と現代国家・政治再編の関係を明らかにする。
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Research Products
(6 results)