2005 Fiscal Year Annual Research Report
米国におけるシステム工学の興隆とその我が国への導入に関する研究
Project/Area Number |
05J10452
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 靖 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | システム工学 / 技術史 / NASA / 宇宙開発史 / 技術論 |
Research Abstract |
米国において、大陸間弾道ミサイルの開発の際に確立されその後他分野への導入が図られたシステム工学は、巨大技術計画の着実な実施を可能にした戦後の主要な技術上の革新であるが、それに関する社会史的・国家横断的な検討はこれまでほとんどなされていない。本研究は、米国及び日本におけるシステム工学の導入・実施について、それが各国の社会規範や組織文化の特質を反映していたことを示すことを目指している。本年度は、まず米国及び日本のシステム工学の社会的・組織文化論的な背景に関する試論を提示するため、両国の社会批評・文化論等の文献にあたり、それらを背景として宇宙分野におけるシステム工学の日米比較に関する論文を執筆し、米国の専門学術雑誌Social Studies of Scienceに投稿した。この論文の論点は、戦後米国で見られたマクロな社会的価値観である「契約主義的個人主義」が、規格化され脱人格化された技術手法たるシステム工学の台頭を準備したというものである。このような主張は、文化的背景の異なる日本との比較により可能になったというのが、この論文のポイントである。この論文は現在査読中であり、またこの内容については、米国の学会Society for the History of Technologyでも発表した。さらに、次年度以降鉄道分野及び計算機ソフトウェア分野におけるシステム工学の導入・実施に関する研究を行う予定であるが、その準備として関連文献の調査を開始した。このうち、計算機ソフトウェア分野に関しては、文献調査の結果を研究動向論文としてとりまとめ、国内の学術雑誌技術と文明に投稿したところであり、現在査読中である。
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Research Products
(2 results)